表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
73/166

8章 大差 9話

 「となると手詰まりになりますよね。今までの(かい)(けつ)(じん)が犯行に至った後の死体現場と同じく」


 ミリイは俯きながら、悄然とした様子で落ち込んでいた。


 他の全員にも同じ思想が浮かんでいた。


 「やっぱりその事で気になるんだけどさ、何で今までの(かい)(けつ)(じん)が起こした犯行の死体現場じゃあんなに証拠が出てこないんだろうな? まるで誰かに処理された後、見たいな感じが伺えなくもないし」


 沈黙を破ったラーシュは顎を摘まみながら、ミリイの話から気になる点を取り上げる。


 「手口が素人でないのは確かだ。証拠と呼べる物は一切浮き彫りになっていない。犯行に関しては正に神業だ」


 レイジックは苛立ちが募っているかのようだったが、それを抑えながら搔い摘んで喋る。


 そこで、タルヴォとレイジックがアイコンタクトを取るかのように横目を向け合う。


 「まあ、その話は保留にしよう。二年間も証拠の出なかった事の疑惑が今になってさらけ出せるわけでもないしな」


 「ああ」


 タルヴォは後頭部をワシャワシャと掻きながらぶっきらぼうに言うと、レイジックは冷静に同意する。


 「そう言えば、皆さんこれからの職務はボッチーマンで行われるんですか?」


 ライトは気になっていた事を、粛々(しゅくしゅく)とした様子で聞いてみた。


 「そうだよ。この前の一件で株式会社の場所が光を照らす(ライトイルミネイト)の活動拠点だって事が、何故かは分からないけど(かい)(けつ)(じん)()(てい)してたから。だからボッチーマンを私達の第二の拠点にって、キャンディー所長が私達に通達してくれたの」


 ミリイは偽る事無く、ありのままの状況を詳細に語ってくれた。


 「警察署の隣でカモフラージュしていた俺達が、まさか更にその隣で身を潜めているなんて、敵さんも夢にも思わないだろうしな」


 ラーシュがニシシ、見たいな企てるような笑みをする。


 「仮にそれすらも()(てい)されてたら、俺らはどこにいても奴らの手の平で踊っている事になる。考えたくもないがな」


 レイジックは()()していそうな面持ちで、辟易と語る。


 「考えすぎですよレイジックさん」


 微笑しながらレイジックにそう言うミリイ。


 すると、今までの不満が募っているかのように、ラーシュは貧乏揺すりをし始める。


 「ああーもう。いつになったら(かい)(けつ)(じん)の足取りを掴めるんだ」


 ラーシュは嫌気が差すようにしながら愚痴をこぼす。


 すると、ラーシュの隣のカウンターチェアの椅子に座りながら、いつの間にか牛乳を飲んでいたヒーロー教官は、眉を顰めながら沈思黙考し始める。


 「分かるぞ、その(はん)(もん)する気持ち。目の前に絶倒する程のナイスバディ―の女とラブホがセットで存在すれば、誰でそうなる」


 ヒーロー教官は、子供と真面目に向き合うような親のような表情をラーシュに向けながら真摯に語る。


 一同は、ヒーロー教官の顔を見ながら大きなため息を吐く。


 「どう聞いたら女とラブホが話に出てくるんですか? しっかりしてくださいよ。頼りにしてるんですから」


 ラーシュに呆れられながら指摘されたヒーロー教官はニヤついた笑みになる。


 「安心しろ。私は()()()(たん)だろうが(とう)(ほん)西(せい)(そう)の身であったとしても、必ず狙った獲物は射貫いて見せる。ここおな。ただし女限定だ」


 ヒーロー教官は卑猥な表現をすると、ミリイは捜査資料で顔を隠し赤面していた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ