8章 大差 8話
ライトは光を照らす(ライトイルミネイト)達が無事だった事にホッと胸を撫で下ろす。
「まあどちらにせよ、半月程前の襲撃してきた子供は、商店街での銃撃事件の時に使用されていた銃と同じモデルだった。誰がどう見ても同一犯である事は頷ける。今まで怪傑人の正体事態、真偽不詳だったが、リーゼンキルが怪傑人と呼称されている可能性が濃厚になったわけだ」
半月程前にタルヴォ達を襲撃しに来たリーゼンキルが手にしていた武器は商店街の銃撃事件に使用されていた、AK―74のアサルトライフル。
それもまた、商店街での銃撃事件の怪傑人と思われるリーゼンキルに繋がる手掛かりとなっていた。
ライトはタルヴォの説明を真剣に聞いていた。
「シャルナは嬉々として怪傑人と名乗っていた。それ自体が俺達をリーゼンキルから遠ざけるための芝居かとも思った。だが株式会社に襲撃してきた一件があった以上、今まで証拠を残さなかった怪傑人の犯行と比較すればお世辞にも万全とは言えない杜撰な手口。隠したかったならあんな暴挙は企てないはずだ。だからあの時のシャルナは、リーゼンキルを隠匿する意義が無いとも言える」
レイジックが浮かない表情で思案していた。
どうやら、光を照らす(ライトイルミネイト)のメンバー達は、リーゼンキルが怪傑人の可能性が高い。と言うのが現段階での推測らしい。
「奴らリーゼンキルが怪傑人かどうかは置いておくとして、問題なのは奴らの足掛かりと、目的だ」
タルヴォが深刻な面持ちで口にする。
「足掛かりなら、リーゼンキルの奴らを片っ端からしょっ引けば何か手掛かりが掴めるんじゃないんすか?」
ラーシュが気の抜けた声で答える。
少し酔ってきているようだ。
「それがまたそうはいかないんだ。前回の株式会社に襲撃してきた奴らがリーゼンキルのメンバーだからと言って、他のメンバーにも同じ容疑が掛かるわけじゃない。任意で事情聴取を取るのが関の山だったのはお前も知っているだろ?」
タルヴォが呆れていたが、致し方なく口にする。
「もちろん分かってますよ。逮捕状を上層部に発行しても、リゼロ局長が『リーゼンキルであれ子供は子供。我が国だけでなく全世界を担う大切な存在だ。この件に関してはデリケートに処理したまへ』何てふざけた事抜かして」
ラーシュは不機嫌になりながらも、上層部の人の真似をしていた。
いかにも威厳があり、海千山千のような灰汁どそうな素振りだった事はスルーするとしておいて。
様になっているようで、つい笑ってしまいそうな感じ。
腹の虫所が悪かったラーシュは続けて喋る。
「とにかく、、俺はあんな奴らの言う事何て無視して強硬手段で全員捕まえて、証拠を炙り出せばいいんですよ。結局の所、立証出来る証拠さえ揃えれば上だってぐうの音も出ないはずですから」
「俺もラーシュの意見に賛成だ。奴らの尻尾を捕まえるのに、わざわざ上の連中の御託に付き合う必要はない」
レイジックは落ち着きながらも鋭い視線をタルヴォに向ける。
「お前らの言いたい事も分かる。だが俺らは政府あっての治安維持部隊だ。麾下の務めを全うする事こそが俺らの存在意義とも言える。政府や上層部の言いつけを背いて火器なんて振り回したら、それはもう警察でもなんでもねえ。ただのテロリストと変わんねえんだぞ」
亀の甲より年の劫、とも言えるタルヴォの深い言葉に、全員は沈黙してしまった。
現実の話では、実際そうなのだ。




