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8章 大差 5話

 言われっぱなしの相手を手帳一冊で従わせた事が気に食わなかったヒーロー教官。


 「お二人はどう言う関係なんですか?」


 ライトはヒーロー教官とタルヴォが親密な関係な事に気付くと、興味本位で聞いていみた。


 「俺とこいつは同い年の三十九歳で小学校から同じだったんだ。まあ腐れ縁だわな」


 「ふん」


 タルヴォは前を向き運転をしながら淀みなく喋る。


 同期の相手の出世に不満を持つかのようにそっぽを向くヒーロー教官。


 「そうだったんですか」


 ライトは意外な表情で驚いた。


 まさか、憧れのヒーロー教官が現役の刑事と同期で腐れ縁の仲とは、と。


 「ボウズも大変な時に事情聴取をさせる日にして悪かったな。母親が入院中なんだろ?」


 心配した面持ちでルームミラーに映るライトに一瞥するタルヴォ。


 「いえ、問題ありません。商店街での銃撃事件の真相を明かすためなら事情聴取は受けるべきですし、僕も協力したいんです」


 「……分かった」


 迷いのないライトの答えに少し間を置きタルヴォは軽く頷いた。


 どこか自分が情けないような面持ちではあり、晴れない面持ち。


 「ちゃんと母ちゃんを守ってやれよ」


 そこで、ヒーロー教官がぶっきらぼうな態度でライトに指摘する。


 まるで、自分の(おい)を偉そうな態度で面倒を見てやっているような感じ。


 「はい。認知症や(うつ)(びょう)が悪化しても僕は絶対に母を見捨てません。必ず幸せにして見せます」


 ライトの曇りなき眼。


 その言葉にタルヴォは微笑ましく思い頬に笑みを浮かばせる。


 「そうだぞ。何のためにお前に『親子の一線を越えた末路』を見せたと思ってる。母ちゃんを第三者に取られるないようにしながら親子としての正しい在り方を学ばせるためだったんだからな」


 またもや偉そうな態度で言い張るヒーロー教官。


 「はい!」


 ライトはヒーロー教官があのアダルト動画で伝えたかった意図を理解すると、迷いのない返事をする。


 その点を()(えん)している事自体ずれがあり、間違いな気はするが、ライトは憧れの相手からの言葉だからこそ、共感し感動していた。


 怒って良いはずなんだが……。


 「お前、またそんな過激なもの見せたのか? 教えるにしたって限度があるだろ。もっと(かい)(ぎゃく)で王道な作品でも見せてやれよ。シンプルが一番だぞ」


 お腹の底からため息を吐きながら呆れるタルヴォ。


 すると、ヒーロー教官は少し座席から前に身を乗り出す。


 「時には苛烈な描写も必要だぞ。そっちの方がリアリティーあるからな」


 ヒーロー教官はニシシ、と悪巧みな笑みを浮かばせていた。


 再び呆れたタルヴォは深いため息を吐く。


 そして、そうこうしているうちに目的地にたどり着いたライト達。


 着いた場所は、警察署と雑居ビルの間の道の前。


 ライトはすぐに、ボッチーマンがある道の前に着いた事を理解する。


 降車した三人。


 すると、タルヴォは何処に行くかと思いきや、警察署と雑居ビルの間にある細い道を通って行くとライト達は後続する。


 「ボッチーマンに行くんですか?」


 「ああ。今回はそこでボウズの事情聴取だ。事情聴取と言っても既にそこの飄々(ひょうひょう)の馬鹿から聞いた話の裏を取るためや、ボウズの視点から観察した点をいくつか聞きたいだけだからそう気張る必要はねえよ」


 「ああ! 喧嘩売っとんのかお前!」


 ぶっきらぼうに答えるタルヴォに対し、ヒーロー教官は喧嘩腰な態度でタルヴォに詰め寄る。


 しかし、タルヴォは相手にしないような態度で、呑気に軽快な口笛を吹いていた。


 「は、はい」


 そのやり取りを見ていたライトは呆気に取られながら返事をする。


 そして不機嫌なヒーロー教官はさておき、三人はボッチーマンに着き、中に入って行った。


 「あ、来た来た」


 ボッチーマンのバーに入るなり、ミリイが笑顔で出迎えに来てくれた。


 「その子がライト君か?」


 ラーシュはカウンターチェアの椅子に座っていて呑気にウイスキーを飲みながらライトに振り向く。


 「どうも、初めまして。ライト・ヴァイスです」


 ライトは完全に緊張してしまいながら深々と頭を下げる。


 西洋風のアンティークの装飾の中を彩るような黒いスーツを着た美男美女が居る空間は正に大人の世界だった。


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