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8章 大差 1話

 午後の授業を終えたライトは、学校に居ても特にする事は無いので、早々と下校する事にした。


 廊下を歩いていてもライトを冷笑する者や、堂々と悪口を言っている者もいた。


 心に痛みが蓄積されていたライトは、やはり浮かない表情をしていた。


 それでも前を向く事だけは怠らなかった。


 昇降口を出て、校門を抜けようとしたその時だった。


 「――ヒーロー⁉」


 なんと、校門の前にヒーロー教官が居た。


 その手には何故か、大型の黒いバイクが握られていた。


 フォルムも中々凝っていて、如何にも若者が好みそうなデザインをしていた。


 大きな欠伸(あくび)をしながら、校門の右側に突っ立っているヒーロー教官。


 急いでライトはヒーロー教官の前まで駆け足で近づく。


 「ヒーロー。どうしてここに?」


 ライトは疑問の表情でヒーロー教官に伺う。


 「見ればわかるだろ。お前を迎えに来たんだ」


 ぶっきらぼうな態度で答えるヒーロー教官。


 「迎えに?」


 ライトは何故ヒーロー教官が迎えに来たのか理解できず、首を傾げる。


 「何だ忘れたのか。今日はお前の事情聴取の日だ。キャンディーちゃんにお前を迎えに行くように、と指示されてここまで来たんだぞ」


 呆れた表情で返事を返すヒーロー教官。


 ライトはうっかりしていたせいか、停学明けの日に光を照らす(ライトイルミネイト)から事情聴取を受けると言う事を忘れていた。


 先程、レイベ達から受けた仕打ちが頭から離れなかったライトは、危うく約束していた事を()()する所だった。


 「――ああ、そうでした! すいません」


 ライトは申し訳なさそうにあたふたしながら謝罪する。


 「まったく……で、あれはどうだった?」


 肩から力を失ったように呆れていたヒーロー教官は急に引き締まった表情で、話の意図が見えない質問をしてきた。


 「……あれとは?」


 ライトは、何の事か分からず、眉を顰めそう聞く。


 「それも忘れたのか! 半月ほど前、お前に見て学習しろと言った『親子の一線を越えた末路』の感想だ」


 またもや忘れていた事に驚いたヒーロー教官は、気持ちを切り替えニヤけた表情でそう聞いてきた。


 「え! あ、ああ、そうでしたね。あー、中々見ごたえがありましたね。特にクライマックスは凄かったです」


 アダルト動画など見た事もないライトに取って、ヒーロー教官が見て学習しろと言ってはいたが、ボッチーマンにセンシティブな画像や動画は見ないよう言われていたため、忠実に従ったライトはもちろん視聴していない。


 仮にボッチーマンから制止させられなくとも、ライト自身、アダルトサイトを見るには抵抗があったため見る事は無かっただろう。


 ライトはばつが悪そうな表情で少し戸惑いながら、話を合わせる事にした。


 すると、ヒーロー教官は顎を片手で摩りながら「そうだな。あの母親は自分の子供の子を孕むかと思ったが、まさか、第三者の男の子を孕むとは予想外だった」と渋い表情で語っていた。


 「……そう、ですね」


 ライトは少し引きながら、眉を顰めそう答える。


 あれで一体何を学習しろ、と言っているのやら。


 ドッと疲れがたまったライトは一度、深く深呼吸をし、思考を落ち着かせる。


 「まあ、私が脚本した『トンキとネトラレ結果』に比べればどうと言う事はないがな。ハッハッハ」


 ヒーロー教官は自信満々な表情で()()()(さん)(こう)(しょう)していた。


 「それにしても、ヒーローは二種免許を持ってたんですね。流石です」


 ライトは、あまり長話したくない内容だったため、露骨に話題を変える。


 (どう)(けい)の眼差しでヒーロー教官を見るライト。


 「……いいや、持っていないぞ」


 「えっっ!」


 素っ頓狂な表情で答えるヒーロー教官に魔の抜けた驚き方をするライト。


 「こいつはな、さっき私を()()するだけでなく、民間人の女性にベロチューした不届き者を更生したついでに没収したんだ」


 「(ごう)(かん)ですか? だからと言って、いくら何でも没収するのは不味いですよ。警察じゃないんですし」

 (りゅう)(ちょう)に語るヒーロー教官に対し慌てながら喋るライト。


 「……まさかと思いますが、実際に乗車して走らせてませんよね?」


 ライトは躊躇(ためら)いながらそう聞く。


 バイクに乗っていない事を心の底から祈りながら。


 「――フフフフッ」


 何故か声を押さえて笑い出すヒーロー教官。


 「あ、アハハハッ」


 すると、ライトも釣られるように笑い出す。


 ライトはヒーロー教官が笑っている理由を、心配し過ぎだ、と解釈し、()(ゆう)だったのか、と思いながら笑って流そうとしていた。

ここまでお読み頂きありがとうございます。

この章だけ行間を空けて申し訳ありません。

少しづつ序章から行間を空けていくつもりですので、何卒ご容赦ください。

違和感が感じられると思いますが申し訳ございません。

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