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6章 急変と、ようやくの出会い 11話

 「いや、ラーシュの言う通りだ。この階の部屋は俺達の部署を合わせても三部屋。どちらかに逃げても隠れる場所はない。仮に別の部屋の窓から飛び出したとしても、着地した時点で狙い撃ちにされるだけだ」


 タルヴォは銃撃されている部屋の廊下に睥睨した目を向け、分析し先を見越していた。


 現在タルヴォ達が居る場所は、中央の部屋から飛び出した左側の部屋の廊下。タルヴォ達が飛び出してきた部屋の右側には二階に続く階段があり、このまま時を待てば、右側の階段から制圧しに来る覆面達に成す統べなく蜂の巣にされてしまう。


 「何とか這って行けば、ロッカーから武器を取れるかもしれません。私、行ってみます」


 意を決した表情で、ミリイは四つん這いになり先程出てきた部屋に向かおうとする。


 「駄目だ嬢ちゃん!」


 慌てて前へ出ようとしたミリイの肩を強く掴み、止めるタルヴォ。


 すると。


 ――ドカーン! 


 先程、タルヴォ達が出てきた部屋にまたもや手榴弾が投げ付けられ、爆発した。


 タルヴォ達は咄嗟に、顔を伏せる。


 二度目の爆発により、タルヴォ達が居た部屋の壁が破壊され、辺りは瓦礫が散乱していた。


 タルヴォ達が頼みの綱としていた武器のロッカーも倒れ瓦礫に埋もれてしまう。


 廊下は先程以上に黒い煙で蔓延していた。


 「ゴホッ、奴らは手榴弾を所持してる! ()(かつ)に近付いちゃ駄目だ!」


 咳をしながら、危機感を高めていたタルヴォはミリイを()き止める。


 それを理解したミリイは悔しそうな表情で奥歯を噛みしめ俯く。


 「はあ、このまま好きな女も抱けず死ぬのか。あ、そうだ。タルヴォさん。煙草(たばこ)一本くれませんか? 俺死ぬ前に(いっ)(ぺん)吸ってみたかったんすよね」


 ラーシュは 深いため息を吐き消沈したかと思いきや、急にけろりとした態度でタルヴォに開いた片手を向ける。


 「正気に戻れバカヤロー!」

 「正気に戻れバカ!」


 タルヴォとミリイは盛大にツッコんだ。


 「よし、このまま行け!」


 覆面達は二手に分かれ、三人の覆面達が並走して株式会社に乗り込もうとした。


 このまま、タルヴォ達は謎の襲撃犯に殺されてしまうのか?


 と、思ったその時。


 ――バン! バン! バン!


 覆面達の背後から間髪入れずに三発の発砲音が鳴った。


 「うっ!」


 三人の覆面達は株式会社の自動ドアを開いて中に入り込もうとした瞬間に、後頭部や、心臓を撃ち抜かれる。


 「な、何だ⁉」


 二人の覆面達が驚愕しながら後ろを振り向いた先に居たのは、レイジックだった。


 一人の覆面を被った人物は振り向いた瞬間、レイジックがすぐさまハンドガンで発砲し、額を撃ち抜かれてしまう。


 「クソヤローがー!」


 残りの一人である覆面を被った人物は、喚き散らしながら、レイジックに向け発砲する。


 何発も放たれた弾丸を、右や左に走りながら(かわ)していくレイジック。


 ジグザグに移動しながら、時には弾が頬や衣服を掠っても気にも留めず、野性的な鋭い目を、敵に向けながら数秒も経たず、レイジックは覆面を被った人物に近付くと、左ストレートの拳を顔面に叩きつける。


 「グハッ!」


 後方に殴り飛ばされた覆面の人物は手にしていたアサルトライフルを落とした。


 すぐに、レイジックは仰向けに倒れている覆面の人物に近付き、顔に銃口を向ける


 「人様の根城に土足で入り込むってのは虫が良すぎるんじゃねえか?」


 鋭い眼差しで覆面の人物を睨みつけるレイジック。


 「ま、待ってくれ! あんたもニュースやネットで見て知ってるだろ! 俺ら覆面を被った奴らは皆、子供なんだ! 子供を撃ち殺すなんて、あんた正気の()()じゃないぞ! だ、だから、銃を下ろしてくれ! 頼む!」


 撃つ事に躊躇(ためら)いが感じられない様子のレイジックに怖気る覆面の人物は、命乞いをしてきた。


 しかも、子供の命を尊重しろ、と仄めかすように言いながら。


 「そうかい。だが生憎、ガキだろうと大人だろうと命は同等だ。そこに隔たりはない。銃を手にし、警察を襲撃した時点で、お前らガキは(しゅく)(せい)される一端のテロリストだ。だからテロリストとしてきちんともてなしてやらないとな」


 落ち着いた様子でありながら冷徹な声音のレイジックに、全身をガクガクと震わせる覆面の人物。


 「あ、あぁー!」


 ドーン!


 覆面の人物の(せん)々(せん)(きょう)々(きょう)とした最後の雄叫びの(のち)、レイジックは虫でも見るかのような冷たい目で何の迷いもなく引き金を引いた。


 額を撃ち抜かれ、絶命した最後の覆面の人物。


 まるで、事件を終えた知らせのように周囲は静寂となった。


 その静寂は、福音とは言い難い、心悲し気の通知。


 静まり返った事を認識し始めた、タルヴォ達は外の様子を見るため、襲撃された部屋の左の部屋の窓から覗き見る事に。


 「居たわ。ダークヒーロー」


 ラーシュは、まるでギャグ漫画の最後を締めくくるような素っ頓狂な表情でレイジックを見ながらそう口にする。


 ちなみに、ラーシュは安眠マスクを額にずらして装着したままだった。


 あんな騒動があったのに寝起きですか? 見たいな絵面


 「行ってる場合か! 俺らも銃を持ってレイジックと合流するぞ! まだ近くに敵が伏せているかもしれない! 警戒を(おこた)るな!」


 ラーシュに親父口調でツッコんだタルヴォは、急いで指示を出すと先陣を切って、先程、襲撃された部屋に向かう。


 「は、ハイ!」


 「ういーす」


 ミリイは一瞬動揺するものの、すぐに気を引き締めたが、ラーシュだけは後の祭りに興味がないような態度で、チャラい感じで返事を返す。


 その態度にムスッとした顔になったミリイは無言でラーシュにボディブローを決め、そのままタルヴォの後に続いた。


 「うおぅ、ちょっ」


 うめき声を上げながらよろけた足取りでラーシュも後に続いた。


 その後、ハンドガンを手にしレイジックの応援に駆けつけたタルヴォ達だったが、周囲をどれだけ警戒しても覆面達の増援はなかった。


 騒ぎを聞きつけ隣の警察署の警官が防弾チョッキを着てアサルトライフルや防護盾を手にし駆けつけてきたが、その後もこれと言った事件は起きず、タルヴォ達との話し合いの結果、遺体となって横たわっている覆面達の特定と鑑識に移る事に決めた。


 覆面達の正体はまたしても子供だった。


 その後の捜査では、その子供達の身元は特定できたが意外な人物だった。


 その人物とは……。


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