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6章 急変と、ようやくの出会い 6話

 そして、月日が経ち、退院していたライトが自宅で休養をしながら停学明けまで後、半月程と言う所だった。


 朝から見舞われる動悸や息切れや立眩み。


 ライトは未だ、自律神経失調症や躁状態から解放されてはいなかった。


 壮大な都市(グランタウン)の恩恵があったとしても、病までは完治されなかったのだ。


 その事に付いては、ライト自身に不満はなかった。


 むしろヒーロー教官との出会いやボッチーマンの入社がライトに取って、ヒーローを目指すきっかけになった、掛け替えのない出合いだったと感謝している。


 壮大な都市(グランタウン)に付いても、自分自身に力をくれた事に、まだ見ぬ見知らぬ誰かに感謝しているぐらいだった。


 そんな日常の中、唐突に一通のメールがライトのスマホに送られた。しかも動画付き。


 メールの差出人は、なんとヒーロー教官からだった。


 『タマゴ、事情はキャンディーちゃんから聞いた。辛いと思い、やけを起こしたかったら好きにしろ。その時は私が更正してやる。安心して今を生きろ。私はお前を見捨てない』


 ヒーロー教官からの温かいメッセージに微笑むライト。


 半月ぐらいは家に(こも)りっぱなしだったため、精神的にも辛くなってた時期だった。


 必要な日用品や食料品などはボッチーマン宛から援助してもっていて、宅配で送られてきていた。


 それだけでなく、カナリアの入院費も全額、ボッチーマンが負担してくれたため、ライトは入院費を免除されていた。


 母子加算で上乗せされた十九万円も受給され、ライトの生活にもゆとりが持てたが、カナリアが帰ってくるまで、食事も質素なもので済ませていたライト。


 カナリアと一緒にご馳走を食べる事が、ライトの楽しみでもある。


 ライトは支えてくれる一人一人の顔を思い浮かばしながら、改めて感謝の気持ちで心が満たされていくのを感じていた。


 だが、そのメールには続きが……。


 『追伸、こいつを見て渇きを満たせ。そして学習しろ』


 そのメールの文字の最後には添付で送られた動画があった。


 そこで、ライトは首を傾げながら、その動画を再生した。


 すると、その動画のタイトルが先に映し出された。


 タイトルは『親子の一線を越えた末路』


 更に動画が進んで行くと、役の三十代と見れらる母親と十代半ばの少年が淫らな行為をしていた。


 「うわっ!」


 驚愕したライトはすぐに再生を止めた。


 「……何考えてるんだよ。ヒーローは」


 頭を抱えながら苦悶するライト。


 しかも、動画の再生時間を見て見ると、まるでサンプル動画のような再生時間。


 おそらく、ヒーロー教官はアダルト動画サイトから、このサンプル動画をコピーし、メールのリンクに貼ったのだろう。


 しかも、タイトルに末路と書かれていたと言う事は、あの親子(役)の二人に災いが降りかかる事が予想できる。


 ライトの立場からして見ればツッコミ所が満載ではあるが。


 ヒーロー教官は一体、何をライトに伝えたかったのか?


 そう考えていく内に、目を瞑り、見なかった事にしよう、とライトは、メールを削除しようと思ったが、ヒーロー教官からのありがたい助言を消すことを躊躇(ためら)ってしまい、悩みに悩んだ末、消さない選択をした。


 それまで、三時間は費やしていた。


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