表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
166/166

26章 歩き続ける 1話

 シャルナとの戦闘から五日が経った。


 警察署の屋上から黄昏ていたレイジックとラーシュ。


 「そう言うやあ聞いたか? ワグナが辞職した事。改造手術やホムンクルスの件で後ろめたく思って、あげくには(かい)(けつ)(じん)に肩入れした事への償いの為だってよ。ま、逮捕されたけどな」


 「ああ。おまけにリゼロ局長も汚職が発覚して解雇。それからクリナ元大統領の秘書のデバンも殺人罪で逮捕。まあ、俺らが突き止めたんだがな。おまけにリーゼンキルに忍ばせておいたホムンクルスは機動隊や自衛隊に射殺される始末。何がどうなってんのやら」


 ラーシュのボーとした態度に、レイジックも疲れが出ているかのような態度で語る。


 「にしても警察も勝手だよな。俺らがワグナの研究ノートを提出したら一気に態度を変えて、刑事に戻れなんてよ」


 ラーシュは不機嫌な様子で語る。


 「仕方ないさ。都合が良ければ人間なんてそんなもんさ。現にキャンディー所長は俺ら光を照らす(ライトイルミネイト)やボッチーマンに、ホムンクルスがリーゼンキルを始末できなかった保険として結成させたんだ。何にせよ勝手なんだよ。どいつもこいつも」


 あっけらかんとした相好で喋るレイジック。


 「そんなもんかねえ。それにしてもノアル、て奴が自首した事を良い事に、上の連中は(かい)(けつ)(じん)の罪をノアルに擦り付けようとしているらしいよな?」


 「そんな事はさせないさ」


 「だな」


 二人は意気投合し、上層部を打倒する事を考えていた。


 自首したノアルは、上層部に取って(かい)(けつ)(じん)の事件を収束させるのに都合が良いのだろう。


 だが、そんな事はさせない、と強い意思を持つレイジックとラーシュ。


 「後もう一つ、シャルナの遺体が出なかったんだよんな?」


 「らしいな。当時は俺らが現場検証したわけじゃないし、確かな証拠はないが、シャルナの安否が不明らしい」


 プロパンガスに突っ込み、爆発に巻き込まれたはずのシャルナは安否が不明な状況となっていた。


 二人は腑に落ちない表情で事件の終幕に納得がいかなかった。


 しかし、事実は事実。


 どちらにしてもシャルナは現在、行方不明で警察に指名手配されている身。


 「まあ、シャルナの件は今焦ってもしょうがない。神のみぞ知るってやつなのかもな」


 レイジックは儚い瞳でそう言う。


 「へえ。意外と冷静なんだな」


 「どういう意味だよ?」


 ラーシュの言葉に、素朴な疑問が浮かぶレイジック。


 「だってさ。レイジックって、悪党だと分かったらとことん調べて追い詰める性分だろ? だから意外だと思ってな」


 「なんだ、そう言う事か。まあ、俺もこの事件をこのまま野放しにする気はないぞ。シャルナの行方はいずれ明らかにする。仮に神に(はば)まれたとしても」


 どう転んでもレイジックが悪党を無視するわけがない、と知っていたラーシュは落ち着いた声音で意外そうな口ぶりだった。


 レイジックはラーシュの意図が通じ、腑に落ちた様子で、改めてシャルナの捜索を続行する事を誓う。


 二人は確かな友情を感じ取りながら、互いに笑みを浮かべていた。




 更に月日が経ち、三日後のお昼。


 ライトはヒーロー活動に勤しんでいた。


 (まち)(なか)の近くに居た五歳ぐらいの幼女がチンピラに拉致された所を救ったのだ。


 「お兄ちゃんありがとう」


 幼女は満面の笑みで感謝の言葉をライトに口にする。


 太陽なような存在を思わせるような。


 「気にしなくていいよ。お兄ちゃん。……ヒーローだからね」


 親し気に喋りながら最後にはキリッとした面持ちになるライト。


 その顔から、過去の闇には縛られていない様子が伺えた。


 これからもどこまでもヒーローで居続けたい。その想いが何時(いつ)か、かけがえのない宝物を生み出すのだから。


 ライトはそう信じていた。


 そう、その宝物は人々の笑顔のなのだから。


 「おいタマゴ!」


 そこへ、慌ただしい様子で駆けつけてくるヒーロー教官。


 「どうしました?」


 首を傾げるライト。


 ただ、あまりいい気はしない。


 嫌な注文がされそうな感じだった。


 「(はは)(おや)が子供にやる()(にゅう)が出なくてその子供が泣き止まない!」


 身振り手振りで伝えてくるヒーロー教官に、ライトはどういたらいいものか、思案する。


 「粉ミルクじゃ駄目なんですか?」


 「それがその子は母乳以外口にしないらしい。とにかく母乳が出そうな女子(おなご)を探すぞ。付いて来い」


 ヒーロー教官は気合たっぷりな感じでライトを急かせるように手招く。


 「ええぇー」


 ライトは見知らぬ人に『母乳は出ませんか?』と聞くと思うとげんなりしていた。


 そんな事を聞くのは誰だって恥ずかしいに決まってるが、ライトは羞恥心を引きずるかのように渋々納得し、ヒーロー教官の後に付いて行きながら、母乳が出そうな女性を探すのだった。


 これからもライトはヒーローとして歩き続ける。


 そう、どこまでも……。

これにてロストヒーローは完結しました。

ここまでお読み頂き、また評価して下さった読者の皆様方、本当にありがとうざいます。

改稿する可能性もありますがストーリーに影響は出ません。

一応ではありますが続編を考えています。

ですがその前に別の作品を書きたいとも思っています。

もし、続編を執筆した暁には是非ともご一読ください。

では、また会いましょう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ