25章 想い 3話
「僕の望み? 世界の変革だよ。言ってなかったっけ?」
「本当にそうか? 少なくとも僕の目には君は何かを渇望しているように思える……ヒーローを……」
「僕が、ヒーローを渇望している? フッ、フフフッ、アッハハハッ!」
初めて感情を剥き出しにしたかのように哄笑するシャルナ。
ライトはそんな無邪気に笑うシャルナに真っ直ぐな視線を向ける。
「まさか僕の言動を見てそう解釈するなんてね。君はやはり面白い逸材だよ」
微笑みながらそう答えるシャルナ。
誰もが分からない。誰もが猪突猛進になってシャルナと言う男を悪と決めつける。
だが、ライトは違う。
今、正にシャルナを救おう、と決心していた。
「それじゃあ続きを始めようか。やはり君との戦いは心躍る物があるよ」
優美に語りながら、シャルナは両手をフリーにするような脱力した体制になる。
両腕をぶらりと下げ、体制が少し猫背になっているような。
「……膂力……シャットアウト。第二エンゲージ、始動」
ぼやくようにシャルナがそう言うと、突如、残像のように何人ものシャルナがその場でシュバババッ、と左右上下に動き始める。
突然の事に驚愕するライト。
そこから何人ものシャルナの残像が、二丁銃どころか、十丁以上の銃で撃ってくるかのように発砲する。
目で追っても全ての弾に対処できなかったライトは、四発の弾が、脇腹や二の腕を掠ってしまう。
「うぅ!」
痛みで眉を顰めるライト。
シャルナは未知なる力で、ライトを翻弄する。
そこからシャルナは別の鉄骨に足を付けると、また謎の力で残像を操りながら撃っていく。
またもや四発の弾が身体を掠り、ライトに生傷を残していく。
そんな攻撃が四回は立て続けに続き、ライトは苦戦を余儀なくされる。
このまま防戦一方では何の戦端も掴めない、そう思ったライトは敢えてシャルナの懐に潜り込んだ。
今までにないくら助走を付けるかのような瞬時な動き。
名付けて火事場のクソ速さ。
その動きに対処できなかったシャルナは動揺し、残像が消えてしまい、元の個体に戻った。
ライトはシャルナの懐に潜り込むと、シャルナの腹部に肘打ちする。
スピードとパワーが掛け合った膂力に突き飛ばされたシャルナは後方に引きずり出されるように吹っ飛んでいく。
そのまま、鉄骨から宙にまで。
ライトは鉄骨の上を走り、宙に居るシャルナを追いかけ手を掴む。
「ぐっ!」
間一髪、下に落ちず済んだが、腕など撃たれていたライトは上手く力が入らず、すぐには引き上げられなかった。




