24章 対話に込められた力 6話
だがキャンディーは鼻で笑う。
「では答え合わせをするとしよう。どちらの言葉に力が宿っているのかを」
キャンディーはそう言うと、瞬時にヒーロー教官の懐に潜り込む。
急に迫ってきたキャンディーだったが、ヒーロー教官の動体視力も卓越されていたため難なく見切り、繰り出してきた拳を往なす。
すぐにヒーロー教官は合気道の要領で、キャンディーの往なした手首を掴み、片足を跳ねらせ、宙に浮かばせ回転させた。
三日月を描きながら回転するキャンディーは受け身を取り着地する。
本当なら背中から横転させたかったが、そう上手くはいかなかった。
透かさず、ヒーロー教官はキャンディーにボディーブローを入れようとするが片手で受け止められてしまう。
「少しはやる気になったようだな。だがそんな事では私を納得させるほどの力を示す事にはならない」
威圧するキャンディー。
ヒーロー教官は、猛ラッシュで拳を何度も振るう。
ギリギリの所で躱していくキャンディーは不敵に笑いながらカウンターを入れる。
その拳を片手で受け止めたヒーロー教官は、すぐに上段蹴りを入れる。
それも手の甲で受け止めるキャンディー。
キャンディーは手にしていたハンドガンで至近距離からヒーロー教官を撃つ。
何とか危なげながらも躱すヒーロー教官。
そのまま防戦一方の攻防が続く。
「なあキャンディーちゃん。今からでも遅くない。自分の夢を見つめ直し、新たな門出に向かうべきじゃないのか?」
「まだそんな事を言っているのかね。私に夢など無い。あるのはこの醜悪な世界の滅亡だけだ。私は嫌と言う程みてきた。どれだけ希望に恋焦がれようと、人間の本質の根幹は悪だと言う事を」
互いに攻撃しながら息を上げた状態での口論。
そこで、キャンディーが隙を突いてヒーロー教官の腹部に掌底打ちを叩き込むと、後ろに後退していくヒーロー教官。
その時に足が縺れ、バランスを崩してしまう。
好機と捉えたキャンディーはすぐさまヒーロー教官に突っ込んでくる。
危機的状況だったが、そこで、ヒーロー教官は、キャンディーに向け指を鳴らす。
キャンディーは現実世界に送られるのか? と言う懸念が浮かんでしまい、思わず動きを停止する。
しかし、キャンディーに至って変化は見受けられなかった。
そのかわり、何故か、キャンディーの周囲の空間がぐにゃりと歪み始めた。
それがキャンディーの左右斜め前、正面に二カ所。
その二カ所からなんと、レイジックとラーシュが更生ルームに顕現された。
しかも、顕現された瞬間には、キャンディーに飛び乗る形を取っていた。
「――⁉」
突然の事に驚く暇も無かったキャンディーは飛び出してきたレイジックとラーシュに取り押さえられてしまう。
「くっ!」
「ここまでだ!」
取り押さえるや否や、レイジックがキャンディーを後ろに回し両手を後ろに回し手錠を掛ける。
「ふう。何とかなったな」
安堵の息を吐くヒーロー教官。
「ちょっとヒーロー教官。もう少しゆとりを持たせてここに呼んでくれないっすか? キャンディー所長を更生ルームに送ってから二分後に俺達をここに呼んで、意表を突いてキャンディー所長を捕縛するとか。車の時にいきなり言われても」
ラーシュがげんなりしながらそう口にする。
「めんごめんご」と言いながら舌をペロリとだし、お茶目な姿態になるヒーロー教官。




