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24章 対話に込められた力 5話

 そこで、レイジックが先制して、ハンドガンでキャンディーの膝を狙い撃った。


 だが、キャンディーは見えているかのように、その弾を横に(かわ)す。


 そこから、ラーシュが何発も撃つが、キャンディーは(ことごと)(かわ)していく。


 「何だよあれ⁉ 本当にデスクワークの仕事でもしてたのか⁉」


 ラーシュは苛立ちながらマガジンを装填する。


 ついに始まってしまった戦いに残念な思いで動き出すヒーロー教官。


 キャンディーの前まで走り出したヒーロー教官は、キャンディーを取り押さえようと、果敢に飛び出した。


 しかし、キャンディーはつまらなさそうな表情でヒーロー教官の手を往なした。


 すぐに回し蹴りをヒーロー教官の背中に叩き込むキャンディー。


 「ぐっ!」


 痛みで(うめ)き声を上げると、レイジックが透かさずハンドガンでキャンディーを撃つ。


 だがキャンディーは難なく(かわ)す。


 蹴り飛ばされたヒーロー教官はすぐに体制を立て直し、またもや取り押さえようと手を伸ばす。


 だがキャンディーはカウンターを入れるように、ヒーロー教官の顔を殴る。


 殴り飛ばされたヒーロー教官。


 ラーシュとレイシックは、何発もの弾をキャンディーに撃つ。


 キャンディーは残像でも残すかのように(かわ)しながら、今度はキャンディーがハンドガンでラーシュとレイジックを撃つ。


 右肩を抉るように掠ってしまいレイジックとラーシュは顔を歪ませる。


 そこで、ヒーロー教官がキャンディーに向け指を鳴らす。


 すると、キャンディーは異空間の中に引きずり込まれ、更生ルームと向かう。


 何故かヒーロー教官はラーシュとレイジックに相槌を打つと、キャンディーの後を追う。


 そして、更生ルームに着いたヒーロー教官。


 「君が私をこの部屋に連れてきたのはこれで二度目かな?」


 キャンディーは砂利道の所で流暢に待ち構えていた。


 「そうだった。だが今回は荘厳な都市(グランタウン)の視察ではなく、文字通り、キャンディーちゃんを更生させるためだ。残念だよ。本当なら豪華なディナーの時にでも呼びたかったが」


 悲しい表情で惜しむように言うヒーロー教官。


 「生憎(あいにく)だが私は更生されるような身分ではない。そもそも私はもう人ではない。そんな者に更生など無駄な労力だとは思わないのかね?」


 涼しい表情で淡々と話すキャンディー。


 キャンディーが、自分が人ではないと豪語する理由は、恐らく改造された事に付いての言及だろう。


 だが、ヒーロー教官は信じていた。


 身体は改造されても心までは改造されていないと言う事を。


 「無駄じゃないさ。どんな理由や些事があろうと、君は紛れもなく人だよ。私と同じく食べ、寝て、うんこする人だ。どれだけ君の人生が劣悪で飾れた物だとしても私は断言する。君はここに居ていいんだよ、てね」


 助けたい人からどれだけ罵られようが侮蔑されようがヒーロー教官は助ける事を諦めはしなかった。


 現に、品がない説得であっても、それは大真面目であるからだ。


 ヒーロー教官の熱意が少しは伝わったのか、流暢な態度を取っていたキャンディーが初めて警戒する。


 「君が私をどうしたいかは関係ない。私は諦めているんだ。この世界は腐敗している。そんな偽りの富や名誉を手に掲げている異端者とも言える者達が一掃されるなら、それが人類の理だ。そうは思わないかね? 本気で善行を積む人間などほんの僅かだ。そんな者のためにこの社会や秩序を維持する理由になるかね?」


 どこか(あい)(しゅう)を漂わせる雰囲気を出しながら切なげに聞いてくるキャンディー。


 「この世界は確かに腐敗している。善人より悪人が圧倒的に多い。取り繕うように影で弱者を蔑む者も居る。だがどれだけ少数の善人が居て、どれだけ悪人がこの世を横行しているとしても、誰かがこの社会や秩序を維持しなければそれこそ人類は破滅する。いくら悪人でも良心がある。だからこそ私は更生させて、今の社会に適応して欲しいのだ。キャンディーちゃんもその一人だ」


 必死になってキャンディーを説得するヒーロー教官。


 その表情は救いたいが一心だった。


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