24章 対話に込められた力 1話
一方、その頃、ライトはエレアと一緒にノアルに肩を貸し、雑居ビルを出て行く所だった。
「そう言えばさっきは、嘘を付いた。お前の知人に訓戒してやったと言ったが、あれはただ脅しただけだ」
「そうだったのか。それでも十分に悪いけどね」
ノアルは陽気にそう喋ると、ライトは少しにやけながら話す。
エレアも他愛のない雑談でもしているかのように笑みを浮かばせる。
「なあライト。お前はこの先、何を目指す?」
ノアルは雑居ビルを出た所で、ふと話を振る。
「分からない。でも僕はヒーローであり続けたい。そのためにも今まで受けた傷は無くさない。そのまま歩み続けるよ」
穏やかな表情で嘘偽りの無い言の葉を告げるライト。
その言葉はエレアに対してのものでもあった。
その言葉を聞いたノアルとエレアは頬に笑みを浮かばせる。
「とにかく俺は自首をする。こいつらはこいつらの判断に任せる」
ノアルが寂し気にそう言うと、後ろに付いて来ている生き残ったリーゼンキルのメンバーに顔を向ける。
リーゼンキルのメンバーはまだ心の整理がついていない様子だった。
先程、ノアルが生き残ったリーゼンキルのメンバーを説得していた。
罪を償う、と。
一悶着あったが、何とか収拾がついた。
すると、雑居ビルの前に、何故か知らない四歳ぐらいの男の子が歩み寄ってきた。
てくてくと歩いて向かってくる姿に、迷子か? と首を傾げるライト。
その男の子の手には本物と見分けがつかないようなハンドガンのプラモデルが握られていた。
「こんばんわ」
男の子は無邪気な笑みで挨拶をしてきた。
「こんばんわ。どうしたの? 迷子?」
優しく男の子に言葉を掛けるエレア。
男の子は無邪気に笑いながら何故かプラモデルのハンドガンの銃口を向けてきた。
「おいおい、そんなおもちゃ持つにはまだ早いぜ」
ノアルが若干、揶揄するが、男の子は笑みを浮かべたまま銃口を向けた所で引き金を引いた。
すると。
ドン!
「なっ!」
なんと、男の子が手にしていたプラモデルのハンドガンから銃声が鳴り、本物の弾が、ノアルの腹部に当たる。
「ノアル!」
ライトは逼迫した表情でノアルの安否を確認する。
男の子はまるで、本物とは知らなかったような反応で驚いてその場を去って行った。
「だ、だいじょうぶ、だ」
必死に言葉を口にするノアル。
「とにかく喋らないで! 救急車も直に来るはずだ!」
口から吐血しているノアルに、ライトは危急を目にしている感じだった。
早くしなければ手遅れになってしまう、と。




