22章 こんどはなれよ。ヒーローに 6話
だが、ノアルはそう簡単には引けなかった。
それが答えだ、と言わんばかりにライトに殴り掛かるノアル。
ライトは驚き間一髪で躱す。
「ノアル!」
「うるせえ! 今更遅いんだよ! 俺はどれだけこの手を血で染め上げてきたか、お前には分からない!」
まるで、自暴自棄の子供が自棄を起こしたかのように喚き散らすノアル。
ライトはどうしたらいいのか、必死に思案した。
だが、どれだけ張り巡らされても答えは変わらない。
「遅くなんかない! 君の闇は世界の闇でもある。だから世界と共に償おう。君の第一歩は決して躓きはしない。僕が代弁者になって世界に訴え続ける。だから、世界と共に歩こう」
ライトは諦めなかった。
どれだけ罵られようが罵声を浴びようが、説得をし続ける。
そもそも、ライト自身、助けたいが一心だった。
「……ライト」
ノアルは口から洩れ溢すようにライトの名を口にする。
時が止まる可能に見つめ合うライトとノアル。
すると。
「アッヒャヒャヒャッ!」
なんと、リーゼンキルの何人かのメンバーが、狂ったかのように手にしていたアサルトライフルで発砲し始めた。
「うわっ!」
すぐ近くに居た味方に撃ち続けるリーゼンキルのメンバー。
「なに!」
ノアルは驚愕し、狼狽えだす。
「おい! 止めろ!」
すぐに、ライトが発狂して撃っていくリーゼンキルのメンバーを殴り飛ばし、気絶させていく。
流れ弾が、ノアルの膝に当たり、ノアルは地面に手を付ける。
「ぐっ!」
「エレア! ノアル!」
そこで、エレアを拘束していたリーゼンキルのメンバーの一人がエレアの首を強く締め付ける。
発狂していたリーゼンキルのメンバーは大体片付いたが、残りの一人がエレアを殺そうとしていた。
ライトはすぐに走り出し、そのリーゼンキルの顔面を殴り気絶させる。
「ゴホッ! ゴホッ!」
むせるエレアを優しく抱いて助け出したライトは、すぐにエレアの身を案じる。
「大丈夫⁉」
「……ええ。ありがとうライト。これで貴方には二度も救われたわね」
逼迫してエレアを見つめるライトに安堵の言葉を掛けるエレア。
ライトもその言葉にホッとし、胸を撫で下ろす。
「クソ。何がどうなってやがるんだ」
ノアルは理解できない仲間の行動に苛立つ。
リーゼンキルのメンバーは五十人から十人に減り、その大半が死体となってしまった。
そこで、ライトはノアルの元にまで歩み寄る。
「ノアル」
ライトはノアルに手を差し伸べるが、ノアルは躊躇している様子だった。
本当にこの手を取ってしまっていいのか?
あの手を握れば、今までのしてきた事は何だったのか?
この時、初めてノアルは罪悪感を知った。
どれだけの人間を殺めてきたか。どれだけの希望を踏みにじってきたか。
だが、そんなノアルにヒーローが暖かい笑みで手を差し伸べる。
「大丈夫だノアル。僕は君を見捨てない。だからこんどはなれよ。ヒーローに」
「……ふん。何がヒーローだか」
ノアルはつまらなさそうにそうは言うが、どことなくライトの言葉に笑みを浮かばせていた。
そして、ようやくライトの手を握るノアルだった。
ここまでお読み頂き、また評価して下さった読者の皆様方、本当にありがとうございます。
22章「こんどはなれよ。ヒーローに」はここで終わります。
次章からも是非ご一読ください。
よろしくお願いします。




