22章 こんどはなれよ。ヒーローに 4話
「……ああ。確かにな。でもお前が僕と戦う理由がどこにある? なぜエレアを危険に晒す?」
ライトは無理に平常心を持とうとしながら、声に語気を強める。
「そんなのは簡単な事だ。お前が心底気に食わないからだ。大切な人間を失ってもまたそいつのために命を投げ捨てるような窮地に立つ。そんな善人が気に食わないんだよ俺は!」
冷静に話しながらも突然、怒鳴りつけるノアル。
「まあ、手塩にかけて育てた部下を更生された八つ当たりもある。そのためにわざわざ訓戒して、お前に毒を盛らせたんだがな」
「何だって!」
ノアルは薄ら笑いながらそう言うと、ライトは驚愕する。
まさか、レイベもリーゼンキルの一員だったのか?
その疑問が脳裏を過り、ライトは目を大きく開きながらそんな事はあって欲しくない、と願う。
「で、どうする? 俺と戦うか? それとも尻尾を巻いて逃げ出すか?」
余裕たっぷりの様子のノアル。
揶揄するような面持ち。
「戦うさ」
ライトに迷いはなかった。
どれだけ条件が芳しくなくとも、やる気だけは失っていなかった。
「汚いわよ! ライトに毒を漏らせえておいた事も計算して戦うなんて!」
眉間に皺を寄せて激怒するエレア。
そんなエレアを鼻で笑うノアル。
「さあ、前へ出ろ」
ノアルは堂々とした相好で待ち構える。
無言で前へ出るライトに野次を飛ばすリーゼンキル達。
「そんな身体で何が出来るんだ?」
「帰ってママの乳でも吸って休養したらどうだ? あっそうか。お前の母親はもう死んだっけか? アッハハハハ!」
周囲に居るリーゼンキルは、ライトの心を砕くために、心無い言葉で中傷してくる。
しかし、ライトはエレアを救う事を最優先にしていたため、決心は揺らぐ事は無かった。
「ほら、さっさとかかってこい」
煽るノアルは大の字で、どこからでも攻撃してこい、と言わんばかりの態度だった。
拳を握り、ノアルに殴り掛かるライトだったが、そのスピードは余りにも遅く、容易く躱された。
「うっ」
足がよろつき、その場でなにもされていないのに倒れてしまうライト。
「おい、おい、そんな体たらくじゃ虫一匹も殺せないぜ?」
潮笑いながらノアルは、ライトの腹部を蹴る。
思わず呻き声を上げてしまうが、奥歯を食いしばり立ち上がるライト。
「ライト!」
エレアは悲傷した表情で、ライトを見守る事しか出来なかった。




