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22章 こんどはなれよ。ヒーローに 3話

 「大変です! ライトさん!」 


 すると、そこに看護婦の女性が慌ただしくライトの病室に入ってきた。


 「どうしました?」


 ライトはただ事ではなさそうな状況に動揺する。


 グラハマも同様に。


 「エレアさんがリーゼンキルと言うメンバーに拉致され、近くの雑貨ビルに引き籠っていると言う知らせを先程、リーゼンキルと言うメンバーに告げられました! 貴方が来なければ殺害すると脅され!」


 「何だって!」


 看護婦の女性が恐怖で語る言葉にライトは驚愕する。


 完全な脅迫。


 グラハマは開いた口が塞がらなかった。


 ライトは、高鳴る心臓の鼓動を感じながらも、急いで立ち上がろうとする。


 「うっ」


 「ライト君!」


 身体の痺れが抜けきっていないライトは、よたついてしまい、バランスを崩し倒れる。


 すぐさま、グラハマがライトを起き上がらせる。


 「無理をしてはいけない」


 「――大丈夫です。でも行かないと」


 憂慮するグラハマにライトは顔を歪ませながらも答える。


 無理をしてでも行かなければならない危機的状況。


 それを理解しているからこそ、ライトは不随しそうな身体を引きずりながらスウェーズ市立総合病院を出ていった。


 グラハマはただ見ている事しか出来ない自分に腹を立てながら見守る事しか出来なかった。

 



 そして、近くの雑貨ビルに向かったライトは張り詰めた思いだった。


 もし、エレアの身に何かあればどうしたらいいのか、と考えながら最悪な展開に考えが傾いてしまう。


 道行く人は殆どいなかった。


 まるで危険を事前に知っていたかのように。


 指定された雑貨ビルに着いてみると、そこの道路にはバイクや車が乱雑に並んで置かれていた。


 どうやらリーゼンキルのメンバーの乗っている物と見て間違いないらしい。


 ライトは既に肩から息を切らしながら、奥歯を噛みしめて雑居ビルの中に入る。


 入ると、上の階から歓喜に満ちた声が聞こえて来た。


 上の階に居る事を知ったライトは、そのまま上の階に行く。


 上手く力が入らない状態で、一体どうしようと言うのか。


 「来たぜ(かしら)!」


 「ライト!」


 「ようやくおいでなすった」


 部下のリーゼンキルが階段で上がってくるライトを見てノアルに伝えると、腕をロープで縛られていたエレアがライトに向け叫び出す。


 申し訳ないと言う思いで、だろう。


 ノアルは待ちくたびれた様子だった。


 ライトが上の階に着くと、そこは五十人のリーゼンキル達がアサルトライフルを手にしながら周囲を埋めるように佇んでいた。


 その中央にノアルと人質にされているエレアが部下のリーゼンキルに捕まっている状態。


 誰もがライトを睨みつける。


 エレアだけが、ライトに儚い瞳を向けていた。


 「彼女を返せ! ノアル!」


 「ああいいぜ。ただし俺と決闘してもらう」


 ライトの要求に二つ返事で答えるノアル。


 以外でもないような提案だったが、ライトは乗るしかなかった。


 「……分かった」


 ライトは不安だった。


 力が上手く入らない今の身体で真面な戦闘が出来るのか? と。


 「ライトは今、治療中よ! そんな人に決闘を申し込むなんて普通じゃないわ!」


 エレアが怒りを込めてノアルにそう言う。


 「だろうな。だがそれがどうした? どの道こいつには俺と戦う理由がある。そうだろ? ライト・ヴァイス」


 ノアルはいけしゃあしゃあとした態度だった。


 その様子を見たライトは沸々と別の怒りが込み上がってきた。


 それは、カナリアを失った怒りだった。


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