22章 こんどはなれよ。ヒーローに 1話
レイジック達がワグナの居る、議事堂に向かう少し前、ライトはスウェーズ市立総合病院で入院をしていた時だった。
「じゃあライト、私帰るわね」
夜の十九時三十分頃、ライトの付き添いできていたエレアは、一旦自宅に帰ろうとしていた。
「ごめんねエレア。こんな事で修学旅行から途中で帰宅する羽目になって」
ライトは横になったまま、エレアに謝罪する。
まだ、身体の痺れが抜けきっていなかった。
「良いのよ。だって言ったでしょ。貴方の隣で見守るって。じゃあまた明日ね」
愛くるしい笑みでライトを元気づけようとするエレア。
それが伝わったのか、ライトも笑みを浮かばせる。
手を振って病室を出たエレア。
ライトの心は感謝の言葉しかなった。
少し時が経つと、面会時間のギリギリに予期せぬ訪問者が、ライトの病室に姿を現す。
「……やあ、ライト君」
「貴方は?」
病室に現れたのは、赤毛の短髪で六十代近い男性だった。
ライトは見た事もない男性に首を傾げる。
「君が知らないのも無理はない。私は君の父親の好敵手と呼ばれていた元プロレスラーのグラハマ・イーガルだ」
「えっ!」
グラハマは自分の胸に手を当て名前を口にすると、ライトは一驚する。
嘗て、ヴァンと琢磨しあった元プロレスラー。
ライトは幼い頃の記憶に居た、ヴァンの笑顔が脳裏を横切る。
「……ザ・ベストマキシマムで、父さんのライバルと呼ばれていた……あの」
目を大きく開きながらおどおどとした様子で語るライト。
「ああ。そうだ と言っても昔の話だがね。それから君の事は地方の人間から噂話として聞いて知ったんだ。一般市民を救ったヒーローとしてね」
グラハマは尊い瞳で物語るように言う。
ライトは気持ちを落ち着かせ深呼吸をする。
「……それでグラハマさん。今日は一体どんな御用で来たんですか?」
自分のお見舞いに今になって姿を見せてきたグラハマに怪訝な眼差しを向けるライト。
「実はだな。君に伝えなければならない事があるんだ」
深刻な面持ちで、グラハマは何故かスマートフォンを取り出す。
そのスマートフォンを捜査して、ある動画をライトに見せようとするグラハマ。
何の動画か気になったライトは差し出され手にしているスマートフォンの画面を注視する。
映っていたのは一般道路だった。




