21章 闇からの不意打ち 3話
誰もが、リーゼンキルの殲滅を望み始める。
「聞きました今の?」
「ああ」
その頃、会場に向かっていたレイジック達。
ヒーロー教官だけは別行動。
車のラジオで聞いていたワグナの声明に眉を顰めるレイジック達。
運転しているラーシュの助手席でレイジックが落ち着かない様子だった。
「落ち着けよレイジック。やっこさんを問い詰めるにしても正面から行くのは不味い。何か策はないか?」
ラーシュの言ううように、既に脱獄囚として指名手配犯されているレイジック達が、表舞台に立つわけにはいかない。
ミリイも同意するかのようにコクコクと頷く。
「流石に覆面を被るわけにもいかないしな。こいつを被っていけばリーゼンキルと見なされ、蜂の巣にされて終いだしな」
覆面を手に取り、ぶっきらぼうに語るレイジック。
「じゃあどうします? 向こうは警備もされてますし、容易には近付けませんよ」
ミリイの最もな意見。
流石に、ノープランで行ける程、甘い相手ではない。
「近くに発電所があったよな?」
「ああ。あるけど。て、まさか!」
レイジックの案に一早く気付いたラーシュが一驚する。
「そのまさかだ。行くぞ」
ニヤリとした笑みをラーシュに向けるレイジック。
レイジックの言葉に怠そうなため息を吐いたラーシュは「ヘイ、ヘイ」と言ってどうにも乗り気じゃないらしい。
発電所内の設備を破壊するため、身元がバレないよう覆面を被る。
設備を壊し終えると、外は暗闇に覆われる。
大統領スピーチをしていたワグナも、街灯が消され困惑する。
すぐに車でワグナの位置にまで猛スピードで飛ばすラーシュ。
五分後、ワグナが居る会場に着くと、周囲はパニックになっていた。
「ミリイ。頼んだ」
「はい」
ミリイは発電所からワグナの会場に行くまで目を瞑り暗闇に慣らしておいた。
ミリイが先導し、ワグナが避難したと思われる、議事堂に向かう。
「こっちです」
小声でレイジックとラーシュを先導し進んで行くと、裏から議事堂の中に入る事に成功した。
「ふうー。第一関門突破だな」
ラーシュが安堵の息を吐く。
非常口誘導灯だけが光り、辺りは薄暗かった。
「復旧するまでが勝負の鍵だ。行くぞ」
レイジックは懐中電灯で前を照らし、気合の入った面持ちで走って行くと、ラーシュ達も後続する。
張り詰めた緊張感がある中、二階を進んで行くと、声が聞こえてくる。
「大統領、こちらです」
「すまない」
ワグナが五人のボディーガードに守られながら、懐中電灯を使いながら移動していた。
すぐに懐中電灯の明かりを消し、壁際に隠れるレイジック達。
「どうします?」
「五人なら何とかなるだろ」
心配するミリイの隣でレイジックがボディーガードを睨みつけながら正面突破を図ろうとしていた。
「やるしかねえよな。闇に紛れて不意打ちかましてやろうぜ」
ラーシュが息込んでそう言うっと、先導し、ボディーガードの照らしている懐中電灯を頼りに進んで行く。
アサシンのように足音を立てず迅速に進んで行き、あと一歩の所だった。
なんと、発電所が復旧し、周囲は光を取り戻した。
蛍光灯が明るく光、レイジック達は慌てて、五人の内、三人をギリギリで不意打ちすることが出来、拳でノックアウトさせる。
「何者だ⁉」
二人のボディーガードが逸早く異変に気付き、レイジック達にハンドガンの銃口を向ける。
ワグナも異変に気付、ギョっとした表情でレイジック達を見る。
「このまま押し切るぞ!」
レイジックの合図に三人はボディーガードに肉弾戦で挑む。
「大統領! お逃げ下さい!」
ボディガードの一人がそう言うと、ワグナは一目散に走りだし、その場を逃げた。




