14章 隠された謎 5話
すると、臓器保管袋の間に所々カルテが置かれていた。
「ここのカルテを調べるぞ」
「うえー、臓器の間にカルテ挟むってのもどうなんだ? 分ければいいだろうに」
レイジックの指示にうんざりするような態度をとるラーシュ。
そして、一同は隠し部屋に置かれていたカルテを徹底的に調べた。
すると。
「ここに置かれているカルテは、信じられませんが、臓器移植のものです。しかも何種類もの臓器を移植し、遺伝子操作まで手が加えられた」
ミリイが信じられない物を目にしているかのような表情で口にする。
「自家移植や同種移植なんて生易しい物じゃねえな。どのカルテにも人体改造なんて書かれてやがる」
タルヴォは悔やみきれないような表情だった。
「「被験者、D三六、被験者Q八二、どれも不適合なため、廃棄処分」ろくなことが書かれていないな」
レイジックは深いため息を吐きながら辟易とした面持ちだった。
「こんな事、許されないだろ! しかもカルテに書かれている日付は、今から三十年も前からだぜ! 俺が生まれる前からこんなあくどい事やってたのかよ!」
ラーシュは煮えたぎる怒りで身体を震わせていた。
「まて、この被験者だけ適合者と書かれている。被験者E八六、この者を人類初にして唯一の傑作。名前は……」
レイジックが見つけた手掛かりに駆け付けるタルヴォ達。
「なんて書いてある」
「駄目だ。書かれている所が消されている」
タルヴォが平然と聞くが、レイジックは消されている名前に残念な思いで答える。
「消されているって事は意図的になんだろ? もしかして消された名前はシャルナだったりしないか? あの尋問した作業員が言ってた事を掻い摘んで照らしたら、そんな気がするけどな」
「おー。ラーシュ君が真面な推理してる」
「何で俺だけミリイちゃんの中で刑事としての基準値が低いんだよ」
ラーシュの真面目な推理に目を細めながら棒読みでミリイが弄ると、ラーシュが躍起になる。
「この遺伝子組み換えや臓器の移植をされた患者、いや被験者はシャルナの可能性が濃厚ってわけだ」
レイジックは淡々とそう言う。
「それだけじゃねえぞ、ここにはこう書かれている。「我々の研究により。成功者の実験で、身体能力の強化や異能の力を目覚めさせた。これにより、被験者の二名は世界を支配する強固な巧手となるだろう」てな」
「え! 二人も成功例がいて、その二人は身体能力が高いだけでなく、異能の力も持っているって事かよ!」
タルヴォはカルテを読み終えると、ラーシュは驚愕する。
「とにかく、現時点で分かった事は、超人が二人いて、その二人は私達と敵対する関係の可能性もあるって事ですよね?」
「そうなるな」
ミリイが暗い面持ちで補足に問題点を取り上げると、レイジックは俯きながら答える。
「ここで実験していた奴の名前がどこかに残ってれば良いんだけど、そうは上手くいかないよな。やんなるぜまったく」
更に隅々まで調べていきながらラーシュが愚痴をこぼす。
「そういやあ、レイジック。この隠し扉の先には部屋があるような空間は外にはなかったか?」
「ああ。この部屋がその空間で終わりだ」
タルヴォがカルテを片手に取りながら聞くと、レイジックもカルテを手に取りながら答える。




