13章 知る者 1話
逃げ延びたライト達はしばらくして沿道で停車する。
人気が無く、車も行き交わない辺鄙な場所。
「何とか振り切ったな」
ラーシュは大きく息を吐き捨て安堵する。
「ライト。さっきは助かったぜ。流石だな」
「いえ。力になれてよかったです」
レイジックがライトの肩を軽く叩き、称賛する。
謙遜するように控えめな態度のライト。
「おいおい、私だってお前らを助けながら一人の作業員を確保したんだぞ」
負けじと張り合ってくるヒーロー教官。
「もちろんヒーロー教官にも感謝してますよ。結局、俺達の尻拭いをしてくれたようなものですからね」
レイジックが微笑しながらもヒーロー教官に感謝の言葉を口にする。
ドヤ顔になるヒーロー教官。
「これからどうします?」
ミリイがタルヴォに指示をしてもらうよう声を掛ける。
「とにかく、さっき拿捕した作業員を尋問するぞ。話はそれからだ」
タルヴォの指示に光を照らす(ライトイルミネイト)は「了解」と声を揃える。
そこで、ヒーロー教官が「やるぞ」と言うと、全員は頷く。
再び覆面を被る一同。
そして、ヒーロー教官は全員を更生ルームに向かわせる。
暗く燦然の星の下でライト達は、先程の作業員の元に駆け寄ると、狼狽している作業員を捕らえ、目を布で覆い、手首を背中に回し手錠を掛ける。
「まっ、待ってくれ! さっきは悪かった! 俺も命令でやった事なんだ! だから許してくれ!」
男性の作業員は取り乱しながら懇願する。
一同、覆面を脱ぎ捨て、作業員を尋問するため、ヒーロー教官が椅子を家の中から持ってくると、外で捕らえた作業員を座らせる。
「お前にいくつか聞きたい事がある。そしてしばらくの間ここに滞在してもらう。身の心配はしなくていい」
レイジックが淡々と言うと、作業員は落ち着きを取り戻してきた。
「ほ、本当か⁉」
「ああ。ただしはぐらかすような真似をしたら、さっきの奴らにお前が色々吐いたと言いながら突き出してやる。そうなればお前は消される。分かったな?」
「ああ、何でも喋る! だから命だけは助けてくれ!」
レイジックが凄みを利かせながらそう言うと、積極的な姿勢をみせる作業員。
「んじゃ質問だ。お前らの狙いは何だ?」
ラーシュが問題の核になるような質問をする。
「それはシャルナさんがリーゼンキルのために斡旋するような話は聞いた。リーゼンキルの奴らの狙いは腹いせみたいなものだ。有名人を殺し続け、存在意義を認めさせてやると言っていた。恐らく世間に鬱憤や人から虐げられてきた事が原因らしい。有名人はそう言う奴らに取っては目の上のたんこぶ見たいなものだからな」
作業員は少し取り乱しながらも説明する。
「シャルナの狙いは何? 何故リーゼンキルの肩入れをするの?」
「よく分からないけど、シャルナさんは変革をこの目で見たいとよく言っていたらしい。どうにもリーゼンキルの奴らのように逸脱した犯罪者程、世界を変革させられる脈動になると言っていた。おそらくシャルナさん達は変革を起こすリーゼンキルを買っているんだと思う」
ミリイの質問に作業員は大分落ち着きを取り戻しながら喋る。
「これで一つはっきりしたな。奴らは混成された組織だって事が」
「ええ。怪傑人と称されている組織はシャルナで、ギャング集団の犯罪を幇助していると言う事ですね」
タルヴォの納得した言葉にミリイも首肯する。
「主に有名人を殺し続けているのがリーゼンキルの連中だったとは。ガキんちょにしちゃやっぱ度が過ぎてるよな」
ラーシュは辟易とした態度で呆れていた。
「シャルナの奴は有名人を手に掛けた事は一度でもあるか?」
「いや、ないはずだ。そう言う話は聞いていない」
レイジックの質問に嘘偽りなく喋る作業員。
「あの火器や衣服製造業はシャルナが用意したのか?」
ラーシュは気掛かりな顔でそう聞く。
「そうだ。噂じゃあれほどの施設を立ち上げる金は全て、競馬やギャンブルで稼いだと聞いた事もある。流石に嘘だと思うがな」
作業員の言葉に、レイジックはそっぽを向きながら思案し軽く深呼吸をする。




