9月20日(火)12:40
「というわけで、アルフィーと組んだときにバランス良く騎馬が作れ、かつそれなりに体格のよさそうな人間を考えたところ、その二人が浮かんでああなった」
「なるほど。とりあえず、四月一日くんとうちの部長に繋がりがあったことに私は驚きだよ」
三日間に及んだイベントの疲れを三連休で癒やし、今日から久々の通常授業。昼休みに騎馬戦のときの話を振ってみれば、どうやら四月一日くんと写真部部長は知った仲であるらしいということが判明した。いや、四月一日くんは1年の頃から写真部に差し入れを持ってきてるわけだから、知り合いである方がむしろ自然か。もしかして部長、差し入れ主が四月一日くんだって、私が知る前からとっくに知ってた……?
「知り合いになったのは、あいつが部長になってからだな。差し入れするときは部長か顧問に話を通す必要がある」
「そっか。そうだよね。じゃあ、去年の秋とか、それくらいか」
「うむ。まあ、知り合いになる前から、俺は一方的にあいつを認知していたが」
「……認知?」
「初めて見たときから、覚えのある雰囲気だと思っていた」
「え、待って。また新たな呼び名出てくる感じ? 最近多くない?」
「ん? 多いとは?」
「私はまだ、ルークレインのこともシャーロット様のこともいまいち飲み込めてないんだけど……。いや、まあ今はいいや。それで、部長のことはなんて呼んでるの?」
「ギルドマスターだ」
「……え?」
「え? ああ、ギルマスの方が呼びやすいか」
「いやそうじゃなくて。……え?」
「……その気持ちわかるよ、八木沼さん。俺も実は、騎馬を組んだときに初めてその写真部部長と絡んだんだけど、こいつがギルドマスターって呼んでるの見て同じ反応したわ」
「そういえばアルフィーも変な顔してたな。どうしたんだ、二人とも」
「いや、だって、それ。何ていうか。役職名じゃ……?」
「俺のナイトとか、八木沼さんのヒーラーとか、そういうことだろ。何となく毛色は違うけど」
「そういうことか。いや、それが……」
「?」
「いつもギルドマスターとかギルマスとか呼んでいたから、正直なところ名前は知らない」
「……」
「……」
「……」
いや、うん。まあ、そういうこともある、か。……あるか?
「ちなみに、ギルドっていうのは? モンドテーレの、私たちのギルドとは違うんだよね?」
「ああ、冒険者ギルドだ」
「……それって、いろんな情報が集まる場所で、依頼をこなすと報酬が貰えたりする、的な?」
「そうだな」
「……勇者パーティーもお世話になってた?」
「そうだな」
「……そんなギルドのマスターの名前、知らないの?」
「……そうだな」
「……お前、いいのかそれで」
「……何かいいの考えたら?」
「いや、知らないものは考えてもどうにもならないというか……」
隣の席の四月一日くんはどうやらギルドマスターの名前を知らないらしい。




