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9月16日(金)14:30

 各団による応援合戦。応援団はそれなりの人数がいるはずなのに、四月一日くんの声がやけによく聞こえてくる。そういえば四月一日くん、応援団に立候補したとか言ってたね。いい声がよく通っている。へたすると応援団長を食っている。応援団としてはかっこいいけど、大丈夫なんだろうか、あれ。まあ、楽しそうだしいいか。




 朝から続いた体育祭もいよいよ終盤だ。私は障害物競走で8人中5位という微妙な成績を収めたわけだが、四月一日くんや五十嵐くんは予想通り、それぞれの競技で大活躍をしていた。そして次に行われる競技は、いよいよ男子団体競技。騎馬戦である。四月一日くん、きっとはりきってるんだろうなぁ。五十嵐くんの騎馬なんて最強そうだし。


 あ、ピストルが鳴った。始まったのか。各団の騎馬たちが一斉に動きだして、一気に場が乱れていく。あの中で敵のハチマキをピンポイントで狙っていくなんて、大変そうだな。私には絶対無理だ。……いや、そういえば小学生のときの運動会では、男女混合で騎馬戦やったな。私は騎馬だったからハチマキを狙った経験はないけど、今思うとよく男子に混ざってあんな競技やれたと思う。まあ、男子高校生たちの戦いに比べれば、小学生の騎馬戦なんて可愛いものなのかもしれないけど。


 しかしそれにしても四月一日くん凄いな。どんだけハチマキ奪ってんの。挑まれた勝負に全戦全勝じゃんか。どこから手が伸びてこようとも確実に避けてるし、両手での組み合いになれば力で押し勝っている。そして素早く相手のハチマキに手を掛けている。いやでも、あれは騎馬が凄いのかな。どんだけ敵にぶつかられても、全くぶれない。なんなら騎手がハチマキを取る前に、相手の騎馬を崩してしまうことすらある。強すぎるだろ、あの騎馬。おかげであの周囲には、だんだん敵が集まらなくなってきたよ。野球でいうところの敬遠だよ。騎馬戦でそんなことある?


 ……おっと。そんな敬遠状態の四月一日くんのもとに、真っ直ぐと近づいていく騎馬が一騎。二ノ宮くんだ。二ノ宮くんが四月一日くんに勝負を仕掛けにいった。いや、うん。確かに勝負するとは言っていたけど、まさかこんな総当たり戦で一騎打ちの環境が整うとは。確かこの後、ちゃんとした一騎打ちもあったような気がするんだけど。あ、でもその一騎打ちは、応援団長を含めた代表の五騎ずつくらいで戦うんだっけ。ならやっぱやるなら今しかないのか。


 二ノ宮くんの騎馬が、四月一日くんめがけて突っ込んでいく。そっちの騎馬もなかなかに頑丈そうだ。しかしさすが五十嵐くん、全くぶれない。二ノ宮くんの手は、軽々と四月一日くんに阻まれる。しかし二ノ宮くんも負けじと、四月一日くんの手から頭をそらしてハチマキを庇う。これは凄い。白熱の戦いだ。全体的な騎馬の数も減ってきている今、周囲の視線も自然と二人の戦いへと集まっていく。手に汗握って味方を応援する男子たち。息をのんでハチマキの奪い合いを見守る女子たち。なんだこの一体感は。あの二人を中心に、謎の一体感が生まれている。


 騎馬同士の激しいぶつかり合い。力が拮抗し、いつまでも続くかに思われた戦いだったが、ついに勝負が動く。二ノ宮くんの騎馬がいよいよ耐えきれなくなったのか、少しバランスを崩したのだ。それは本当に些細な変化であったが、五十嵐くんはその隙を当然見逃さない。勝負を決めるかのようにたたみかけ、それによってよろめく二ノ宮くん。そうしてはためく白いハチマキを、ついに四月一日くんが華麗に奪い去ったのだった。


 その瞬間、周囲から割れんばかりの声援が湧き上がったのは言うまでもない。




 余談だが、四月一日くんの騎馬で右側を務めていたのはうちの部長だった。マジか。ただの天然だと思っていたのに。とんだ伏兵じゃないか。そしてよく見ると左側は例のルークレインだった。あれ? あの人、敵では……?






 隣の席の四月一日くんはどうやら文化部で最強の騎馬を作り上げたらしい。

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