9月7日(水)10:00
うちの高校ではなぜか、文化祭と体育祭をひとまとめにして、三日間のお祭りとして扱っている。毎年恒例、一日目と二日目が文化祭、三日目が体育祭というスケジュールだ。なぜこのような謎スケジュールになっているのかはわからない。おかげでこちらは、文化祭準備と体育祭練習がいっぺんにやってくるというクソみたいな状況になっている。まあ、クラスの出し物がない3年生は、下の学年に比べれば楽なわけなので文句も言えないけど。でもその代わり勉強量というか宿題の量はアホみたいに多くなっているので、やっぱり文句言っていいと思う。なんでこんなスケジュールにしたの。
「きっつ……」
「八木沼さん、水飲もう、水。俺らこのままじゃ死ぬわ」
「賛成……」
現在、体育祭の団体種目、綱引き練習の真っ最中である。勝負はクラスごとだが、勝てば団に大きなポイントが入るので、団長の指揮のもとで団別に練習するという全校合同体育なんてものがあったりするのだ。おそらく、団ごとの結束を図るという意図も含まれているのだろう。しかしなんというか。綱引きに練習なんているのだろうか。だって、綱を引くだけじゃん。それ以上やりようがないじゃん。なんて言い方をすると、綱引きの全国大会に出るようなガチ勢たちには怒られてしまうかもしれないけど。でもこれ別に、公式大会とかじゃないし。とにかく頑張って綱を引く、くらいしか私にはできない。だから、練習の必要性が感じられない。まあ、そうは思っても、うちのクラスはこういう勝負事にはとても真剣なので、水を差すようなことを言うわけにもいかないのだけれど。
「フィフィー、大丈夫か。これを飲むといい」
「ありがとう四月一日くん……」
「アルフィーも飲め」
「サンキュー……しかし、ペットボトルのスポーツ飲料なんて、いつの間にこんなもの……」
「こんなこともあろうかと、前もって準備しておいた」
「神……」
私がすぐにばてるのは簡単に予想がつくだろうし、五十嵐くんは体力はあるけど暑さに弱い。だから私たちがダウンすることを見越して、前もって飲み物を買っておいてくれたということか。え、四月一日くんって、こんなに気が利く感じだった? なんだか四月一日くんに後光が差して見えるよ。単に太陽が眩しいだけかもしれないけど。
「綱を全力で引っ張り続けるのはきついと思うが、勝つためには一人一人が最大限に力を発揮することが重要だ。もう一踏ん張りしよう。大丈夫だ。しんがりは俺に任せておけ」
「四月一日くんが超頼もしく見える」
「今回は同感」
隣の席の四月一日くんはどうやら意外と面倒見がいいらしい。




