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8月29日(月)12:40

「クッキーをね。作ってみたんですよ」

「突然どうした八木沼さん」

「いやー。夏祭りのときにさ。四月一日くん、でっかいぬいぐるみくれたじゃん」

「ああ。フィフィーなら、ああいうのが好きなのではないかと思ってな」

「改めて、あの時はありがとうございました。あれ、ものすっごい気に入りまして。大事に部屋に飾らせてもらってるんですよ」

「なんで敬語?」

「喜んでくれたなら何よりだ」

「大いに喜んでおります。それで、何かお礼しなくちゃなーって思って。四月一日くん、ぬいぐるみに限らず、普段からもいつもお菓子とかくれるし」

「普段のお菓子なら、あくまで部活動の範疇で作っているから、全く気にする必要はないが」

「それはそうかもしれないけど。それでもやっぱ、いつも貰ってばっかっていうのもね。あれじゃん」

「八木沼さん真面目だね」

「というわけでクッキー作りに挑戦してみたんだけど、いかんせん全く料理なんてしないものだからなかなかうまくいかなくて。何回か練習した末にやっと他人にあげても問題なさそうなのができたから、持ってきてみた。はいこれ」

「フィフィーの、手作り、だと……」

「へー。いろんな動物の形になってるんだ。凄いな……おい四月一日拝むな」

「ありがとうフィフィー……一生大事にする……」

「いや食べて?」




 最初は普通に、ぬいぐるみのお礼に何か物をあげようと思ったのだけど、四月一日くんが欲しがりそうなものなんて正直、全く想像もつかなかった。だからまあ、抜群にお菓子作りの上手な四月一日くんに、手作りお菓子をあげるのもどうなのと思わなくもなかったけれど。それでも消え物の方が気軽に渡しやすいかなと思って、結局クッキーを作ることにしたというわけである。




「見栄えを気にしない、適当な形のクッキーなら私でも一発でできたけどね。やっぱり、人に渡すならもっと綺麗な方がいいかなと思って」

「フィフィーから貰えるものなら何だって嬉しいが、俺のことを考えてわざわざ作ってくれたなんてなおさら嬉しい。ありがとう」

「四月一日くんの手作りには遠く及びませんが……あ、五十嵐くんにもあげるよ」

「マジで? 四月一日へのお礼なのにいいの?」

「四月一日くんは量が三倍だから」

「あ、本当だ。量が全然違う」

「うまい……」

「……おい食いながら泣くな」

「泣いてない」






 隣の席の四月一日くんはどうやら私の手作りクッキーを喜んでくれたらしい。

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