8月24日(水)8:30
始業式。2学期が始まった。
……いや早すぎない? 普通2学期って、9月から始まるんじゃないの? 8月はまだ一週間残ってるよ? やっぱ進学校、頭おかしいわ。でもさすがに朝学習はなかったのでそれはよかった。普段と比べればちょっとだけ遅い登校だ。まあそれも今日だけだけど。
「おーっす」
「おはようアルフィー」
「五十嵐くんおはよう」
後ろのドアから入ってきた五十嵐くんに、私と四月一日くんで挨拶する。いつもの光景だけど、随分久しぶりな感じがする。
「夏祭りのときに会ったのに、なんか物凄く久々な再会って気がするね」
「まあ会ったって言っても、十日くらい前だしな。普段毎日のように会ってるのに比べれば、これだけ長期間会わなかったことって意外とないだろ」
「確かに」
「うむ。だが勉強の合間にモンドテーレもやってたし、寂しくはなかったな」
「お前はいつも招集が急すぎ」
そうなのである。全く会ってはいなかったが、実はちょくちょくモンドテーレを起動しては一緒にクエストをこなしたりしていた。私たちはゲーム内で順調にレベルアップしている。主に二ノ宮くんのおかげだ。
「ま、勉強の息抜きとしては案外いいけど」
「私もそれは思ってた。やりすぎはよくないけど、簡単なクエスト一つこなすだけとかなら、いい気分転換になるよね」
「そうか。二人が思ったよりも乗り気で俺も嬉しいぞ」
あんまりゲームにはまってしまっては困るけど、受験生だからって完全にゲームを絶つ必要もないだろう。ちなみに私はなっちゃんを誘いたいのだが、四月一日くんが頑なに拒否するためまだ実現できていない。
「それにしても2学期かー。この席は結構楽しかったけど、それも今日で終わりだね」
「え、なぜだ」
「だって新学期ってことは、席替えあるでしょ?」
「なん、だと……」
……四月一日くんが目に見えて打ちひしがれている。ちょっとかわいそうな気もしてくるが、こればかりは仕方がない。席替えのやり方については担任によるところが大きいけれど、普通に考えれば学期ごとにくじ引きというのが定石だと思う。去年も一昨年もそうだったし。だからきっと今回もそうだろう。そう、思ったのだが。
「あー」
「……五十嵐くん? どうかした?」
「いや、なんていうか」
「?」
「俺らの担任さ。一年間席替えしないらしい、よ?」
「……え?」
「……!」
隣の席の四月一日くんはどうやら一年間隣の席らしい。




