表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

79/190

8月5日(金)14:00

「いらっしゃいませー。我が家にようこそ!」

「テンション高いな」




 今日もいつも通りに3年生の教室までやってきた二ノ宮くんは、なにやら嬉しそうな様子で私たちを先導してわざわざ家まで連れてきた。まあ、今日で夏期講座も終わりだし、これでしばらくは学校に行くこともなくなるし、タイミングとしてはちょうどいいけど。いやーでも、まさか本当にこうやって来ることになるとは。友だちの家に遊びにいくとか小学生の頃以来では。まあ友だちっていうか、後輩だけど。とりあえずご両親は仕事で不在だそうなので、そこは気が楽である。よかった。




「さあさあ中へどうぞ」

「おじゃましまーす」

「失礼する」

「……あちぃ」




 二ノ宮くんは自転車通学だから高校の近所に住んでいるのかと思いきや。意外と距離があったので徒歩だとまあまあきつかった。自転車だと余裕な距離でも、歩くと大変なのである。そしてこの猛暑の中歩かされた五十嵐くんは、案の定ダウンした。普段なら私よりも体力があるのに、どうやら暑さへの耐性は私の方が上らしい。




「五十嵐先輩死にそう。とりあえず僕の部屋にいってエアコンつけましょう」

「……助かる」




 私たちを階段の方へと促し、2階に上って突き当たりのドアを開く二ノ宮くん。その部屋は一見シンプルであり、勉強机に本棚と、いかにもできる人間の部屋という感じである。が、よく見ればテレビの前にゲーム機がセットされており、収納ボックスの中には大量のゲームソフトが入っているようであった。ちゃんとしっかりゲーマーの部屋だった。というか大きくて立派な家だな。二ノ宮くんってもしかして、いいところのおぼっちゃんなんだろうか。




「お茶持ってきますね。それともアイスがいいですか?」

「いいのか? 悪いな……じゃあ両方で」

「五十嵐先輩のそういう遠慮のないところ、いいと思います」










 アイスを食べてほっと一息。エアコンの力もあって五十嵐くんが復活し、ようやく私たちはゲームに意識を向けた。




「なにしましょうか。定番の、大乱闘のやつとかどうです?」

「あ、3つくらい前のやつやったことある」

「俺は確か2つ前のやったな」

「……?」

「まあだいたい想定通りですね。四月一日先輩の反応も含めて」




 大乱闘のやつといえば、皆でわいわい対戦できる格闘ゲームだ。人気故にこれまで何度も新作が出ているため、いろんなハードでたくさんの種類のソフトがある。そして残念ながら私は、最新作は全くやったことがない。




「……このコントローラー、どう操作すればいいの?」

「機能としては、過去作とそんな大幅には変わりませんよ。これが攻撃で、これがジャンプで……」

「キャラクターを操作して敵を倒せばいいのか。モンドテーレと一緒だな」

「RPGと一緒にするのもどうかと思いますけど、まあそういうことです」




 そうして二ノ宮くんから一通りの説明を受けて、私たちは対戦を始めたわけだけど。最初は全然ダメダメだった四月一日くんが意外や意外、コツを掴んだとたんに急成長を見せて、二ノ宮くんとかなりいい勝負をするようになっていった。私はそこそこだし、五十嵐くんもまあまあうまいけど、二ノ宮くんには敵わない。なのに、まさかの四月一日くんがめっちゃ善戦している。マジか。




「正直予想外の展開です。四月一日先輩、やるじゃないですか」

「魔王に負けるわけにはいかないからな」

「僕が使ってるキャラはどっちかというと、正義の味方ですけどね」







 その後、レースをするやつとかパズルをするやつとか、すごろくをするやつとかいろいろやったけど、四月一日くんが格闘ゲームで見せたほどの覚醒をすることはなかった。




「なんで大乱闘だけあんなうまかったの?」

「やはり騎士としては、戦闘で引けを取るわけにはいかない」

「……なるほど?」

「お前が使ったキャラは、どっちかっていうと悪役だけどな」






 隣の席の四月一日くんはどうやら格闘ゲームの才能があるらしい。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ