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8月2日(火)13:00

「それにしても、いくら希少な能力を持ってるからといって、勇者パーティーにいる人間を魔王軍に勧誘するってなかなかできないですよね。もしかして魔王って凄い人なのでは」

「二ノ宮くん、もしかして魔王に対してちょっといい感情持ってきてる? 大丈夫?」

「いや、もちろん魔王と呼ばれることを許容するってわけじゃないですけど」

「……前にも少し言ったかもしれないが、魔王には圧倒的なカリスマ性があった。魔族だろうが人間だろうが関係なく、欲しい人材だと思えば迷わず受け入れる懐の深さ。格下からの意見であろうと、正しいと思えばためらいなく取り入れる思慮深さ。部下の能力を熟知して的確に仕事を振り分け、常に迷いなく先を見据えた行動をとり続ける視野の広さ。残念ながら、魔王に心酔した人間が少なからずいたのも事実だ」

「理想の上司かよ」




 五十嵐くんの突っ込みに思わず頷く。これは社会で働いたことのない私たちでもわかるぞ。完全に理想の上司だわ。




「というかお前、やたら魔王に詳しいな。ファンかよ」

「アンチだ」

「……まあ、ファンとアンチは紙一重って言うもんね」

「完全なるアンチだ」

「でも魔王のいいところは素直に認めてますよね」

「この上なくアンチだ」




 一応、立ち位置的には四月一日くんは魔王を倒そうとしているわけだし、アンチという言葉に嘘はないのだろう。でも二ノ宮くんの言うとおり、魔王のいいところがちゃんとわかっているというのもまた事実だ。なんだろうこれ。宿敵と書いてライバルと読む的な?




「いや長い間戦ってきた中でお互い力を認め合っていつしか友情のようなものが芽生えるとか、そんなことは一切ないからな。ただの敵だ」

「少年誌かよ」

「かーらーのー?」

「いや本気で魔王は敵だ。なんなら今ここで決着をつけてもいいんだぞ、ネクト」

「だから僕は魔王じゃありませんってば」






 隣の席の四月一日くんはどうやら魔王に対して紙一重でアンチらしい。

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