7月28日(木)13:00
昨日は結局、コンビニで買ったアイスをその場で食べて、五十嵐くんがちょっとだけ元気になったところで解散した。五十嵐くんがあんなにも暑さにやられてしまうなんて、全くの想定外である。とりあえず冷房さえあれば元気そうなのでよかったけど、この教室を出た瞬間にまたダウンしてしまいそうなので心配は拭えない。大丈夫だろうか。今日もコンビニ寄った方がいいだろうか。
しかしまあそれはそれとして。私は忘れていないぞ、四月一日くんの気になる発言を。いやまあ四月一日くんの言うことだし、本当は別に気にする必要もないんだけどね。でもなんか意味深だったじゃん。魔王とフィフィーに何かあるの?ってつい思っちゃったじゃん。なんかこう、アニメを見ていたらめっちゃいいところで終わって、続きはまた来週、みたいな気分なんだよ。え、来週なの? 来週なんて待ちきれないんだけど!って気分。でもアニメと違ってこの続きは来週になってもやってきてくれない。つまりこれもう聞くしかないやつじゃん。ね、聞くしかないよね。
「ねえ、魔王は、フィフィーを……の続きは?」
「……え?」
「普段なら流してるところだけど、途中で言葉を止められちゃうとさすがに気になる」
「あ、実は僕も気になってました」
今日もナチュラルに二ノ宮くんはここにいるわけだけど、今は何も言うまい。四月一日くんの言葉の続きを聞く方が先だ。そうして私と二ノ宮くんにじっと見つめられた四月一日くんはといえば、言うべきかどうしようかという感じで目を泳がせている。
「あー。その」
「うん」
「魔王は……」
「……」
「……」
「……何の話?」
「ああ、五十嵐くんは暑さでダウンしてたもんね。二ノ宮くんってなんで私への好感度高いの、みたいな話になって」
「……確かにそれ俺も思ってたわ」
「そしたら四月一日くんが、何か思い当たることがあるみたいな顔するから」
「ほう」
五十嵐くんにまでじっと見つめられてしまい、いよいよ逃げ場がなくなった四月一日くんは、それでもまだ言おうか迷っているようだった。しかし、私たちに引く気がないと悟ると、やがて観念したように溜息をつく。
「……魔王は、フィフィーを」
「うん」
「……魔王軍に勧誘していた」
「……うん?」
隣の席の四月一日くんはどうやら魔王とフィフィーに関して思うところがあるらしい。




