7月22日(金)13:00
「先輩、宿題終わりました?」
「いや終わってないよ。昨日の今日で何言ってんの?」
二ノ宮くんが今日も教室にやってきた。いやそれは別にいいんだけど、まさかこの子、学校に来るたびに宿題の進捗を聞いてくるつもりだろうか。なんか、急かされてるみたいでやなんだけど。謎にプレッシャー感じるからやめてほしいんだけど。
「そういうお前はまさか終わったのか? あぁ?」
「え、五十嵐先輩が柄悪い。というか頭ぐりぐりしないでください痛い痛い」
どうやら五十嵐くんも謎にプレッシャーを感じてしまったようである。宿題でナチュラルにマウントをとってくる二ノ宮くんに対し、思わず手が出てしまう程度にはイラッときたらしい。
「僕もまだ終わってないですけど、今週末であらかた片付きそうな感じではあります痛い痛い痛い」
「俺だって宿題は早めに終わらせたい派だ。でもそれにしたってお前、まだ二日目だぞ? どんなペースでやってんだよ」
「えー。昨日はちょっと夜更かしすれば10時間くらいできたし、今日もそれくらい時間取れるでしょー? それから土日は朝から晩まで頑張れば15時間以上はやれそうだし、それだけやれればだいたい終わるかなーって」
「……凄い通り越して怖いわ。受験生だってそんなぶっ通しで勉強してねーよ。いやしてるやつもいるかもしれないけど」
「絶対そんなに集中力続かないよね」
「まあ勉強するって意味では確かに、逆に効率悪いかもしれないですけど。でもあくまで宿題を終わらせることが目的なので」
「こいつマジで腹立つな」
「二ノ宮くんはきっと、宿題なんかなくても問題なく勉強したこと覚えてるんだよね。宿題の存在意義に疑問持ってそう」
「否定はしません。ちょ、五十嵐先輩痛いですって、そろそろ離してください……」
学校の宿題というものは、授業で習ったことを定着させることが目的であるはずだ。しかし二ノ宮くんは、勉強した時点で完璧に習得してしまうから、そもそも宿題をする必要性がないのだろう。だからただ終わらせることが目的になってしまう。……全く、羨ましい頭である。
「うむ。宿題を終わらせることが目的となってしまう、というのはまあわからなくもない」
「……四月一日が言うと二ノ宮以上に腹立つな」
「なぜだ」
四月一日くんだからだろうね。
隣の席の四月一日くんはどうやら二ノ宮くんに共感できることもあるらしい。




