7月20日(水)14:00
終業式。一学期終わったぁ-。
なんか、あっという間だった気がするな。やっぱり四月一日くんと仲良くなったせいかな。これまでの高校生活を振り返っても、今までで一番濃い一学期だったよね。濃ければいいってものでもないけれど。まあ、普段からそんなに友だちの多くない私からすれば、これはいいことと言えるか。
「いやいや。やっちゃんはそれでいいの? だって四月一日だよ?」
「……なっちゃんって、けっこう四月一日くんに厳しいよね。知らなかったんだけど」
「別に私はあいつに興味ない。でも、あっちはなぜかこっちを意識してくる」
「べ、別に意識とか」
「ほらこういうとこ」
「なるほど」
「ちがっ。誤解しないでくれフィフィー。違うんだ」
「おい浮気の言い訳をする男みたいになってんぞ四月一日」
いつもより早くやってきた放課後の時間に、なぜか教室でだらだらとだべっている私たち。こう見えても受験生である。
「いやさ。やっちゃんが四月一日と五十嵐と仲良くなったことは、なんとなく聞いてたけどさ……ここまでとは思わないじゃん」
「ここまでって?」
「四月一日と普通に会話する仲」
「普通に会話するだけでここまでって言われるんだ」
「だって四月一日だし」
「まあ、うん」
「おいグレースどういう意味だ」
「うるさい」
「う……」
四月一日くん、マジでなっちゃんに弱いな。
「……なんかスルーしちゃってたけど一応つっこむね。なっちゃんはグレースなの?」
「そういう聞き方されると全力で違うって言いたくなるけど、まあ四月一日はしつこくそう呼んでくるよね。四月一日のそのあだ名センス、本当になんなの。中二なの?」
「高3だが」
「こいつ……」
「まあまあ七瀬。落ち着けって」
グレースって名前、前にちらっと出てきたような。まさか数少ない私の友だちに、四月一日くんの謎あだ名の該当者がいたとは。世間は狭いとはこのことか。
「というか、やっちゃんのことはフィフィーって呼んでたよね。なんでやっちゃんまでそんな」
「フィフィーはフィフィーだからな」
「ちなみに職業はヒーラーらしいよ」
「は? そんな設定まであるの?」
「俺は剣士。アルフィーは騎士で、お前は魔法使いだ」
「は?」
「あ、魔法使いなんだ。じゃあモンドテーレやろうか」
「え、ごめんやっちゃん。ついていけない。何言ってるの?」
「だって職業あるってことは、モンドテーレでそれ選ぶってことでしょ?」
「いや、グレースを招待するのはちょっと……」
「は?」
隣の席の四月一日くんはどうやら私の友だちのことをグレースと呼んでいるらしい。




