7月1日(金)12:40
今度こそリベンジだと言って颯爽と教室を去った四月一日くん。なんと今回は10分で戻ってきた。どんどんタイムが縮んでいる。彼は絶対に廊下を走ったりしないだろうけど、競歩でも凄まじいスピードが出ていそうだもんね。全く、身体能力が半端ない。
「……ただいま」
「おう」
「どうだった?」
「ほぼ一番乗りで購買にたどり着くことに成功した」
「へえ。凄いね」
「よかったな」
「だが」
「だが?」
「今回はそもそも限定品というものがなかった」
「……まあそういうこともあるよ」
うん。これはさすがにちょっとかわいそうだ。二日間の経験を経て、今回こそは手が届きそうなところまできてたのに。まさかの品物自体が存在しないという結末。悲しすぎる。
「毎日あるわけじゃないからな。予告もされないし」
「そうか。つまり、あるかどうかは運ということか」
「そういうことだ」
「こればかりはどうしようもないね」
四月一日くんは普段から何事にも動じない感じはあるが、さすがに今回は落ち込んでいるようである。確かに、限定のやつはどれも格上感というか、高級感というか、そういうのが漂っていて本当においしそうだからね。手に入れてみたいという気持ちはよくわかる。
「とりあえず、昨日と同じカレーパン。それから、ミニクロワッサンを買ってみた。5個も入っている」
「ああ、ミニクロワッサンって確かに、袋に入れてまとめて売られてるよね」
「……よかったら1個食べないか? このパン屋はクロワッサンも人気らしい」
「え、いいの? ありがとう」
私は貰えるものは貰う主義なので、遠慮なくいただいてさっそく口に運んだ。んん! さくさくもっちり、これは人気なのも頷けるお味である。
「本当においしい……あ、ウインナーあげる」
「! ありがとう……アルフィーもクロワッサン食べるか?」
「いや、俺はいい。それより、本当は限定品を買ってみたいんだよな。まだ続けんの?」
「そうだな……続けたいが、さすがに毎日通うのもな……。また、気が向いたときにでも挑戦することにする」
「結局やるのか」
隣の席の四月一日くんはどうやらこれからも購買戦争のリベンジを続けるらしい。




