表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

52/190

6月23日(木)12:50

 恐らく私は、四月一日くんが語っていた言葉の意味のほとんどを理解できていないのだろう。しかし、冷静に思い返してみて、今になって気付いてしまったことがある。


 さらっと言ってたけど。何か、また新しい名前、出てきたね。


 えっと、グレースだっけ。誰だグレース。四月一日くんの1年のときのクラスメイトって話だったと思うけど。アルフィーと並べて言ってたし。ということは、そのグレースとやらも勇者アーロン一行ってことでオッケー? そして、その人も何らかの職業持ち? 残念ながらとか言ってたのもどことなく気になるけど。というか、え、待って。四月一日くん、4限が終わると同時にどこかに消えたと思ったら、めっちゃおいしそうなものを携えて戻ってきたんだけど。何それ。何なのそれ。




「いちごのミルフィーユだ。作ったものを家庭科室の冷蔵庫で冷やしておいた」

「おぉぉー」

「やけに豪華なの持ってきたな。突然どうしたんだよ」




 重ねられたパイ生地の間には、スライスされたいちごとたっぷりのカスタード。そして上にももちろんいちごが乗せられており、もう見ているだけで幸せになるようなフォルムをしている。これを自分で作れるという事実が信じられない。これ、お店で買うやつじゃないの?




「昨日、あいさつ運動をしていて思い出したんだが。俺とフィフィーがこの世界で初めて出会った、記念すべきあのあいさつ運動の日が、二年前の6月24日だった。一日早いがお祝いだ」

「あー。言われてみれば、お前が八木沼さんを気にしだしたのって確かに、このくらいの時期だったかもな」

「よく覚えてるね」

「突然あちこちのクラスを覗き出すという奇行が始まったのが、期末のテスト勉強をしているような頃だったんだよ。何してんだこいつって思ってたけど、確かそれで八木沼さんを見つけたんだよな。で、話しかけたいとか言い出して……え、あいさつ運動で偶然見かけた女子を探してたってことか? 冷静に考えるとやべーな」

「俺はただ、また会いたかっただけだ。ほら。食え」

「フォークもあんのか。準備万端だな。ん……うま」

「フィフィーも」

「ありがとう……んっ、ほんっとうにおいしい。天才」

「うむ」






 隣の席の四月一日くんはどうやら私と出会った日を記念日に認定したらしい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ