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6月20日(月)22:00

『あ、あっちに薬草あるっぽい』

『でも手前に魔物の群れがいるな。突っ切るか?』

『いや、僕らのレベルだとまだちょっときつくありません?』

『うむ……迂回するか』




 部屋のベッドにクッションを置いて背もたれにし、モンドテーレのクエストに挑む。二ノ宮くん、せっかく仲間に入ったのに、全然一緒にやるタイミングがなかったからね。ついに、満を持してのプレイというわけだ。ちなみに会話はボイスチャット、クエストの内容は薬草集めである。


 本当は夜に遊ぶなら週末がベストな気がするけど、土曜日は英語の試験があったのでそんなことしてる場合ではなかった。大学入試でスコアを使えるやつだ。目指せ1000点。……いけたかは微妙。そして日曜日は五十嵐くんが将棋部の活動で疲れていたみたいなので、当然その日もなしである。自分抜きでやっていいとか言ってたけど、そんなの却下に決まっている。やっぱり五十嵐くんはいてくれないと。いろんな意味で。




『群れは避けられたけど、何か単体で強そうなの来たぞ』

『めっちゃ炎纏ってるね。そこら辺燃えてるけど、あれ触ると火傷とかするのかな』

『そうですね。ステータスが”やけど”になるはずです。いくらヒーラーに治してもらっても、炎がある限りじわじわHP削られますよ』

『……もしかして、俺の水属性の剣が使えるのでは』

『お、四月一日先輩、いいの持ってるじゃないですか。スキル使ってください』

『装備する……よし。くらえ、ミストリップルッッ!』

『四月一日くん、技名叫ぶの好きだね』

『いちいち叫ばれるとうっとうしいけどな。というかミスト? 霧? それ効くのか?』

『大丈夫だ。炎は弱まっている』

『あ、ホントだ』

『今のうちに囲んで倒しましょう。八木沼先輩、攻撃強化のバフお願いします』

『オッケー』




 二ノ宮くんは前に言っていた通りスローペースでやっているようで、私たちとそんなにプレイヤーレベルは変わらない。しかし、先に始めていたはずの私たちよりも断然、要領がいいというかゲームを進めるのがうまいというか。これまであらゆるゲームをやり込んできただけのことはあるというか。さり気なく私たちを正しい道に誘導してくれているようで、とてもやりやすい感じがする。




『よし、とどめだ。ホーリィーブレェークッ!』

『ふぅ。倒せたね。あ、何かドロップした』

『……薬草じゃねーか。こいつ、どうやって燃やさずに持ってたんだよ』

『いや、待って。焦げた薬草って書いてる』

『マジか。やっぱ燃えてんのか』

『……クエストクリアか?』

『いや、残念ながらアイテムとしては別物ですね』






 隣の席の四月一日くんはどうやらゲーム中に技名を叫ぶのが好きらしい。

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