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6月7日(火)7:30

「先輩先輩せんぱーい」

「何。朝っぱらからうるさい」

「え、冷たい。しばらく会えないから別れを惜しみに来たのに」

「……ん?」

「あれ、まさか知らない!? 僕、これから3泊4日、研修という名の勉強合宿なんですけど」

「勉強合宿? 何それ」

「いや、先輩も1年のとき、研修センター行ったでしょ? 分厚いプリントを渡されて、延々と問題解かされたでしょ?」

「あー、あれか。海があるとこな」

「そう! さすが五十嵐先輩!」

「……あれか」




 言われてみればそんなこともあった。一応、教科ごとに時間は区切られていたけれど、やることといえばとにかく問題を解きまくるだけ。そして、研修中にプリントが終わらなければ残りは宿題とかいう地獄。嫌な思い出だから記憶から消えてたわ。




「俺は結構楽しかった記憶があるが」

「え、四月一日くんってそんなに勉強好きだったの」

「いや、そっちではなくて。カヌーが面白かった」

「ああ、自由時間の方ね。研修センターが海の側だったから、そこで遊べたんだっけ」

「へー。そういうのもあるんですか。ならちょっと楽しみかも」

「カヌー……俺は若干怖かったけどな。四月一日のせいで」

「なになに」

「二人乗りのやつがあったんだけど、こいつすげースピードで漕ぐからさ……遙か彼方、沖までいって戻れなくなるかと思った」

「うわ……」

「とか考えてたら余裕で陸まで戻っていた」

「うわ……」




 慣れないカヌーで陸からどんどん離れてしまうなんて怖すぎる。そして、一度遠くまでいってしまったにも関わらず余裕で戻ってこられる四月一日くんの持久力や腕力も恐ろしい。もはや引くレベル。




「四月一日先輩って、見た目通り体育会系なんですね。あれ、でも、部活は家庭部でしたっけ」

「ギャップ萌えとか言うけど、これほど需要のないギャップもないよな」

「萌えと呼ぶにはいかつすぎますね」

「……もしかして喧嘩売ってるか?」






 隣の席の四月一日くんはどうやら萌えと呼ぶにはいかつすぎるらしい。

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