6月3日(金)12:40
モンドテーレのガチャでゲットできるものは、武器とアイテムだ。魅力的なキャラクターがたくさんいてそれ目当てにガチャを引く、というタイプではない。なぜなら、キャラクターは自分自身のみだからである。その代わり、アイテムの中にはアバターパーツも含まれていて、自分の見た目を好きなようにカスタマイズできる。自分好みのキャラを作るには、それっぽいパーツを一つずつ手に入れていくしかないというわけだ。自由度が高い分、ある意味キャラを引くタイプのガチャより悪質かもしれない。
まあ、あくまでそれは個人個人のお楽しみ。ゲームをプレイする上で重要なのは、やっぱり武器だ。剣や弓のようにわかりやすいものもあれば、防具や加護みたいな装備品もあったりで、とにかく種類は多岐にわたる。レアリティの高い武器は当然強いし、強化をすればさらに強くなる。同じものを重ねればさらにさらに強くなる。強い武器があればそれだけ強い敵を倒せるし、プレイヤーのレベルも上がりやすくなる。つまり、初手で強い武器を手に入れることは、ゲームを進めていく上で非常に有利になるということだ。
「リセマラって、リセットマラソンの略なんだな」
「あ、ごめん。四月一日くん、意味わかってなかった?」
「うむ。その場で聞こうかと思ったが、せっかくなので自分で調べてみた」
「おお。四月一日くんの検索スキルがどんどん上がっていく」
「上がってやっと人並みだけどな」
五十嵐くん、さり気なく辛辣である。
「リセットマラソン。アプリゲームのチュートリアルで引ける無料ガチャを、目当てのものが出るまで何度でもやり直し続けること。最近のゲームは標準システムとして引き直しができるものもあるようだが、モンドテーレはいちいちアプリをアンインストールするしかないようだな」
「一番面倒なやつだね」
「ネクトはそれをやったわけか」
「はっきりやったと聞いたわけじゃないけど」
「しかし、あいつは今も☆5武器を持っている。さすがに、運がいいからとかそういうことではないだろう」
「あ、ギルドに加入して仲間になったから、持ち物を見れるんだね」
私もログインしてギルドへ行き、メンバーを確認してみる。すると確かに、ネクトというキャラクターは☆5武器を所有していた。これはしてますね、リセマラ。
「ちなみに四月一日くんは、ゲームを始める前に知識があったらリセマラした?」
「いや……おそらく、しなかっただろうな」
「あ、そうなの?」
「へー、意外だな。お前なら強くなるためなら時間は惜しまないとか言って、ガンガンやるかと思った」
「確かにそうだな。だが、大事なのは武器の強さではなく、己の強さだ。リセマラに時間をかけるくらいなら、俺は自分を強くすることに時間をかけたい」
「あー。現実だったらなんかいいこと言ってる感じあるけど、これ、ゲームだからな。武器の強さと己の強さ、比例するからな」
「……そう、なのか?」
「いやまあ、お前がそれでいいならいいけど」
隣の席の四月一日くんはどうやらリセマラはしない派らしい。




