表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/190

4月11日(月)12:00

 体育館に集合して、1年生との対面式が行われた。左側の空間に1年生が整列し、間を空けて右側の空間に2、3年生が整列。そして向かい合って体育座りをする。たった2歳しか違わないはずなのに、誰も彼もが初々しく見えるのはなぜなのか。ついこの前まで中学生だった子たちだからだろうか。


 校長先生のありがたいお話の後に、生徒会長から挨拶をする。内容としてはだいたい「君たちにはたくさんの仲間、そして頼りになる先輩や先生方がいる。困ったことがあればなんでも相談してほしい。支え合って頑張っていこう」という感じだ。私が1年生のときもそんな風に言われたんだっけ。さっぱり覚えてないや。


 それから新入生代表による挨拶が行われる。新入生代表ってあれか。受験で成績トップだった人か。司会の生徒会役員に促されて堂々とした足取りで前に出てきたのは、さらさらとした髪に涼しげな目元が印象的な男子生徒だ。成績が良くてしかもイケメンとか、こいつ絶対もてるな。周囲の女子が色めき立っている空気が伝わってくる。


 マイクで話す彼に、皆が釘付けになる。私も目の保養とばかりに彼を見つめ、その声に耳を傾ける。しかしその時、少し離れた場所に座っていた四月一日くんが唐突に声を上げたものだから、私は思わずそちらの声を拾い上げてしまった。




「あれは……まさか魔王!?」

「なに言ってんのお前」




 クラス中がなるべく四月一日くんと関わるまいと思っている中、唯一普通に接している男子がいた。名前は……なんだっけ。忘れた。とにかくその彼が偶然にも四月一日くんの隣に座っていたため、四月一日くんの意味不明な発言に冷静な突っ込みが入った。ほんと、なに言ってんのお前である。


 幸いにも1年生たちのところまでその声は届かなかったようだけど、少なくとも四月一日くんの近くにいる人間の耳にはばっちりと入ってしまった。皆、なんとも言えない顔をしている。簡単に言うと、皆引いている。






 隣の席の四月一日くんはどうやら1年生の中に魔王を見つけたらしい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ