5月31日(火)12:35
「見たよ」
「ん?」
「刺繍マップ」
「あ、マジで? 俺まだ見てないわ」
「展示はしばらくそのままだから、いつでも大丈夫だ。……どうだった?」
「もう凄いとしか言いようがない。うっかり感動してしまった」
「そうか。気に入ってくれたなら嬉しい」
「いやうっかりって、褒め言葉か……?」
刺繍でマップを表現ってどういうことなんだろうって、イマイチ想像がついていなかった。しかし、どういうこともこういうこともなかった。完全にマップ画面、というか、モンドテーレの世界だった。刺繍って、こんな完璧な絵になるの? 凄いね? なんなら、その場所で取れるアイテムや、出てくる敵なんかも小さく描かれていたりしたし。見た瞬間に、これはあそこだなっていうのがわかるようなクオリティだった。本当にびっくりである。
「部活紹介で四月一日くんが見せてた布も凄いなって思った記憶あるけど、あの時は遠目だったし……まさかここまでとは思ってなかった」
「裁縫は得意なんだ」
「裁縫はできるし、お菓子もおいしい。くっ、私よりも圧倒的に女子力が高い」
「女子力って見た目じゃねーけどな」
「……女子力?」
意味がわからずきょとん、と首をかしげる四月一日くんは、見ようによってはかわい……くないこともない。ような気がしないこともないような気がした。
隣の席の四月一日くんはどうやら私よりも女子力が高いらしい。




