5月27日(金)13:00
今日は高校総体開会式。文化部である私には、全くもって何の関係もないイベントである。でも、なぜか全員参加という謎。朝からとある陸上競技場にクラスごとに集合し、指定された観客席に座る。そして、運動部の生徒たちが選手団としてトラックを行進するのを見て、運動部と無関係な私たちは華やかな声援を送る。毎年思うんだけど、何の時間だよ感が半端ないねこれ。
まあ、去年同じクラスだった、一番仲のいい友だちが剣道部なのがせめてもの救いか。彼女のことは普通に応援したいと思う。あと、どこかの高校の新体操部によるパフォーマンスや、どこかの高校の吹奏楽部によるマーチングなんかは、見ていて面白い。実際、そういうのがなかったら本当に気力が失せてしまうところだった。
しかし、それにしても。そういう、ちょっと楽しげな企画が終わってからの時間がそれはもう長い。主催者あいさつ。来賓あいさつ。どこかの高校の生徒会長あいさつ。あいさつあいさつあいさつ。ホントあいさつ多い。選手代表の宣誓だけでいいじゃんって思っているのはきっと私だけではないはず。だってほら。皆、疲れた顔してるもん。
「終わったぁぁ」
「開放感凄いな」
無事に開会式が終了し、クラスが解散した後。特に何か用があるわけではないけれど、私と四月一日くんと五十嵐くんは何となく合流した。
「このまま帰る? それとも部活?」
「俺のところは部活休み」
「同じく」
「私も。じゃあ帰ろっか」
「おー」
「……二人とも、そうやってすぐ帰りたがるな。せっかく早く終わったんだし、もうちょっとこう」
「八木沼さん、バスだっけ。俺は駅だけど、途中まで一緒行こ」
「うん」
「ちょ、待っ」
いや、正直ね。せっかく早く終わったならその分早く帰りたいんだよ。でも、四月一日くん。私たちが問答無用で帰ろうとすると、すっごい悲しそうな顔になるんだよな……。あんな顔されるとさすがに罪悪感が。私なんかよりよっぽど容赦がなさそうな五十嵐くんでさえ、足を止めて振り返る。本当に仕方なさそうにではあるが。
「ったく。寂しがりかよ」
「……別にそういうのでは」
「じゃ帰る」
「さ、寂しい。もうちょっと一緒にいたい」
「はぁ……仕方ねーな」
「また喫茶店でも行こっか」
「……!」
隣の席の四月一日くんはどうやらなかなかの寂しがり屋らしい。




