5月26日(木)12:35
「ねえねえ。二ノ宮くんは魔王にならないと仲間に入れてあげないの?」
「ん? ああ、昨日の話か」
「え、何。何の話」
「二ノ宮くんもモンドテーレ始めたらしいんだけど、四月一日くんに魔王になってから出直してこいって門前払いされたって」
「おいお前。八木沼さんの後輩だぞ? もうちょっと優しくしてやれよ」
「いや、せっかく職業に魔王があるんだ。ならもうあいつはそれになるしかないだろ」
「は? 何言ってんのお前……マジであるな」
明らかに疑いながらスマホで調べ出す五十嵐くん。しかしすぐにその情報に行き当たったらしく、何ともいえない顔になってしまった。そうだよね。まさかあるとは思わないよね。そして四月一日くんは本当にググるという技をマスターしたんだね。私はむしろそっちにびっくりしてるよ。魔王という職業があることを、まさか事前にチェック済みだったなんて。
「だけどこれ、めちゃめちゃめんどくせーやつじゃねーか」
「確かに大変かもしれない。だが、頑張っていればいつかはなれる」
「いや俺らが卒業するまでには無理だろ」
課金しまくればあるいは何とかなるのかもしれないけど、私たちにそんな財力があるわけもなく。少なくとも年度内に魔王になれる可能性はほとんどゼロだろう。
「何で四月一日にとって二ノ宮が魔王なのかは知らんが、せめてもうちょっと譲歩してやれよ。かわいそうだろ」
「む」
「そうだね。一緒に遊びたいみたいだし、それを拒否するのはさすがにかわいそうすぎる」
「う、うむ……まあ、二人がそう言うなら、少し考える……」
「おう。そうしろそうしろ」
隣の席の四月一日くんはどうやら魔王に譲歩をしてくれるらしい。




