5月25日(水)17:00
「そういえば先輩。僕もモンドテーレ始めましたよ。初回ガチャで最高レアの武器引けました」
「あ、本当にアプリ入れたんだ。……最高レアって凄いな」
学校の花壇に咲いている花にカメラを向け、ピントを合わせながらそんな話をする。
うちの写真部の活動は基本的に自由行動なのだが、校内で撮るか校外で撮るかは一応、部員全員で示し合わせている。本日は前者というわけだ。
「本当は一番に先輩に報告したかったんですけど、今朝たまたま四月一日先輩にあったのでちょっと話しました」
「へー。何か言ってた?」
「ギルドを作ってフィフィーとアルフィーと三人で冒険してるって自慢されました。フィフィーが先輩のユーザー名ですか?」
「ユーザー名っていうか……いや、うんそう。ユーザー名」
ユーザー名というよりは、完全にそういう名前として四月一日くんから呼ばれているんだけど。余計なことを言うと話がややこしくなりそうだしもうそれでいいや。
「それから、まだ始めたばかりでできることは少ないけど、過去の追体験をしてるみたいで面白いって言ってました」
「追体験?……四月一日くんの思考はよくわからないけど、まあ協力プレイとかは皆で盛り上がれるし、確かにかなり楽しいかも」
「ですよね。誰かと一緒にやるゲームは楽しいです。なので、僕も仲間に入れてくださいって頼んだんですけど、魔王になってから出直してこいと門前払いされました」
「四月一日くんひどいな……ていうか、え、魔王? なれるの?」
「攻略サイトを見てみたら、確かに職業に魔王はあるみたいでした。ただし、条件は相当厳しいですけどね。まずはプレイヤーレベルを250まで上げないと。話はそれからです」
「うわ、250? えっと、このゲームってどこまでレベル上げられるんだっけ」
「今のところ、上限は300みたいですね。今後のアップデートで徐々に上がっていくかもしれないけど」
「250/300か……気が遠くなるね」
「しかもその時点で初めて解放されるクエストがいろいろあって、それを全部クリアしないといけないみたいで」
「うわー……そこまでして魔王になりたい人、そんなにいるかな」
「まあネタとしては最高に面白いですよね。あ、ちなみに、勇者になるための最低レベルは200でした」
「勇者の方が魔王よりハードル低いんだ……」
隣の席の四月一日くんはどうやら何が何でも二ノ宮くんを魔王にしたいらしい。




