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5月24日(火)18:40

「四月一日くん、新学期の自己紹介のとき、何て言ってたんだっけ」

「ん? さすがに一言一句は覚えてないが……出席番号36番。四月一日。所属は家庭部。趣味は筋トレ」

「その後」

「その後……魔王討伐のために勇者と旅をしていた。できればこちらの世界でも悪を滅ぼしたい」

「それだ。魔王討伐。悪を滅ぼしたい」

「うむ。それがどうかしたか?」

「いや、何ていうか。その討伐したい魔王が、二ノ宮くんってことなのかなって」

「そうだな。あいつが諸悪の根源だ」

「うーん……二ノ宮くん、悪い子じゃないと思うけど。勉強できるし。生徒大会でもまともな意見言ってたし」

「……そういうところだ」

「え?」

「非常に腹立たしいことだが、魔王には圧倒的なカリスマ性があった。あの魔族どもの心酔っぷりときたら……」

「へ、へー」

「まあ、魔族は元より魔王の仲間だし、まだわかるが。ときには人間すらたぶらかされ、配下に下る者もあった」

「人間も? それはまた、衝撃的というか何というか」

「人間は疲れると他人の醜い部分ばかりが目につくようになるからな。そんな状態が続いたりすれば、魔王に支配されて生きる魔族の方がマシに思えてきてしまうのかもしれない」

「まあ人間って、生きるのめんどくさいもんね。特に人間関係とか」

「ああ。魔王の力強い支配力を、魅力的に感じてしまったりするんだろう。そして魔物側についた人間ほど扱いに困るものはない。悪は悪だと割り切ってしまえばいいんだが、元をたどれば悪いのは魔王だと思うと、何となく目覚めが悪い気もするし。もちろんそれでも、そういう奴らは間違いなく敵だと認識してはいるが。全く、あのカリスマ性は脅威だ」

「そっか。何かよくわからないけど大変なんだね」




「あの、それできれば僕のいないところで話してくれません? いや、できればいないところでも話さないでほしいですけど」






 隣の席の四月一日くんはどうやら魔王のカリスマ性を脅威に感じているらしい。

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