5月23日(月)12:45
「八木沼せんぱぁーい!」
「あ、二ノ宮くん」
「何だと!?」
昼休み。いつも通り四月一日くんと五十嵐くんとご飯を食べていると、なぜか二ノ宮くんが私たちの教室にやってきた。
「お前。よくも堂々と顔を出せたものだな」
「えー。先週のことまだ根に持ってるんですか。僕は思ったことを言っただけなんですけど。というか、実際その後、どうなんです?」
「うっ……お前の意見が採用されてその方向で動いている……」
「何だ。やっぱり先輩もいいアイデアだと思ったんじゃないですか」
「くっ……無念」
四月一日くんが心底悔しそうな顔で項垂れている。二ノ宮くんの意見に乗るのがそんなに嫌だったんだろうか。そして二ノ宮くんはどうしてナチュラルに私の前の席から椅子を持ってきて、お弁当を食べ始めてるんだろうか。一緒に食べたかったの?
「あれ、こいつって……」
「ああ、五十嵐くんは知らないか。私の写真部の後輩、二ノ宮くん」
「どうも。二ノ宮です」
「二ノ宮……どっかで見たことあるような……」
落ち込んでいる四月一日くんを放置して、まじまじと二ノ宮くんの顔を眺める五十嵐くん。見たことあるっていえば、やっぱりあれだろうか。
「対面式じゃない? 二ノ宮くん、挨拶してたよね」
「はい。してました」
「あー! 四月一日が魔王って呼んでた奴!」
「……え?」
魔王? あー。そういえばそんなこと言ってたような。あの時はまだ二人と会話するような仲じゃなかったし、なに言ってんのって感じで聞き流してたけど……うん、確かに言ってた気がする。
「そうなんですよ。四月一日先輩、初めて会ったときから僕のこと魔王だとか言ってやたら絡んでくるんですけど。どうにかしてくれません?」
「残念だけど、俺たちにできることはないな。諦めろ」
「えぇー、そんなぁ。……でも八木沼先輩は僕の味方ですよね?」
「ん!? えーっと……」
「あ、おい。魔王のくせに二人に取り入ろうだなんておこがましいぞ」
「だから魔王じゃありませんって。どっちかというと僕、優等生だと思うんですけど……」
隣の席の四月一日くんはどうやら二ノ宮くんのことを魔王だと思っているらしい。




