5月6日(金)13:00
「あ、あの」
「ん?」
「えっと」
「?」
「……その」
「……?」
「あ「あーもううっとうしいな何なんだよお前!」……すまん」
前にもこんなやり取りがあったような気がする。どうした四月一日くん。もう私とは普通に話せるようになったと思ってたんだけど。いやでも今は私と五十嵐くん両方に話しかけようとしてるっぽいな。私はともかく五十嵐くん相手にも言いよどむって何事だ。
「……考えたんだが」
「おう」
「お互いの連絡先を知っていれば休みでも寂しくないと思わないか」
「別に」
「うわ五十嵐くん冷た……ってあれ。私が四月一日くんの連絡先を知らないのは当然だけど、五十嵐くんはさすがに知ってるんじゃ」
「知らん」
「1年のときから仲良しなのに?」
「別に仲良しじゃない」
「アルフィー……」
「アルフィーって呼ぶなその悲しそうな目やめろ。……はあ。あのな八木沼さん。こいつ、いまだにガラケー使ってんだよ」
「え、マジで」
「マジで。だから連絡先を交換するってことは電話番号とメールアドレスを交換するってことだ。でもいちいちメールするの正直めんどくせーだろ」
「確かに。私、友だちとはメッセージアプリでしかやりとりしたことない。というかまずガラケーを使ったことがない」
「同じく。でもこいつはスマホは難しそうだと思ってガラケー選んだんだと」
なんでも四月一日くんは機械全般弱いらしく、スマホを扱える自信がなかったそうだ。親世代に同じ事を言われたら普通に納得するけど、同世代でもそんな人いるんだな。
「確かに俺は機械に弱い。でもそうだな。俺もいよいよスマホに乗り換えるときがきたのかもしれない」
「無理すんなって」
「いや。実は気になっているスマホゲームがあってだな。CMで見たんだが」
「スマホ使う自信がないのにゲームなんてできるわけねーだろ」
「アルフィー……」
「うるせーこっち見んな」
「携帯を買ってもらったとき、親にもスマホにすればいいのにと言われた。だから機種変したいと頼めばすぐに許してくれると思うんだ」
「そうかよ。……お前本当にスマホ持って大丈夫か。すぐにぶっ壊さないだろうな。スマホはガラケーより高額だぞ」
「……頑張る」
「不安しかないな」
不安しかないが、やりたいスマホゲームがあるというのは意外だ。どんなのをやりたいのかちょっと興味がある。
「おすすめの機種があれば教えてほしい」
「シニア用スマホ」
「……できれば皆が使ってるようなやつで」
「……じゃあ明日でも三人で携帯ショップとか行ってみる?」
「明日……友人と、休日に、おでかけ……!」
「嬉しそうにすんな俺は嫌だぞ」
「なぜだ。楽しそうじゃないか」
「めんどい」
「そう言わず……ならフィフィーと二人きりで」
「二人きりはちょっと」
「拒否された……あ」
「ん?」
「明日はリー研だった」
「リー研って、リーダー研修会?」
「ああ。俺、風紀委員長になった」
「そっか。じゃあどっちにしろ無理だね。ドンマイ」
「……」
めっちゃ落ち込んでる。うん。ドンマイ。
隣の席の四月一日くんはどうやら私たちの連絡先を知りたいらしい。




