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4月20日(水)13:05

「あ、あの」

「ん?」

「えっと」

「?」

「……その」

「……?」

「あ「あーもううっとうしいなお前すぱっと話しかけろよ!」……すまん」




 結局話すことができなかった昨日のリベンジだろうか。四月一日くんがついに、恐る恐るといった体で私に話しかけてきた。しかしうまく言葉が出てこないのか、全く会話にならない。そしてそんな四月一日くんを例の彼は頬杖をつきながら見守っていたが、いよいよしびれを切らして机をバンッと両手で叩いた。私はここにきて初めて、例の彼としっかり目線を合わせて会話のキャッチボールをすることになったようだ。えっと、例の彼、名前は……。




「八木沼さん!」

「あ、はい」




 八木沼とは私の名字だ。彼は私の名前をちゃんと把握しているらしい。いや、私だってちゃんと君の名前わかってるよ? ほら、あれでしょ? えっと、ほら。あれ。ね、うん。




「もう薄々気付いているとは思うけど」

「うん」

「こいつがお前さんと仲良くなりたいらしい」

「うん……え、そうなの?」




 ごめん。薄々も気付いてなかった。ちらちらこっち見てくるし、何か話したいことがあるんだろうなーとは思ってたけど、それだけだった。察し悪くてすみません。というか、仲良くなりたいってどういうことだ。はっ、まさか、私がぼっちだから、ぼっち同士仲良くしようってことか。いや、彼がついている限り四月一日くんはぼっちではない。私の方がぼっちだ。くそう。さっきからぼっちぼっち連呼させやがって。ぼっちがゲシュタルト崩壊しそうだ。




「あ、あの」

「あ、はい」




 仲良しの彼に発破をかけられ、いよいよ腹をくくったのか。四月一日くんは体ごとこちらに向けて、何とか私との会話を続けようとした。今さらだけど、四月一日くんとちゃんと目を合わせるのはこれが初めてかもしれない。結構、精悍な顔つきをしてるんだな。思ったよりも男前な気がする。これで変な言動さえなければ普通にモテるだろうに。もったいない。まあどうでもいいけど。


 それにしても、緊張している様子がありありと伝わってくるせいで、こちらまで緊張してしまう。私だって人と話すのはそんなに得意ではないけれど、ここまであからさまだといっそ心配になるわ。何でたかがクラスメイトの私に対してそんなに緊張してんの。




「……お昼」

「え?」

「一緒に、食べない、か」

「……あー」




 ガチガチに緊張した末に出てきた言葉は食事のお誘いだった。いや、嬉しい。嬉しいよ。私に今、一緒にお昼ご飯を食べられる相手がいないことは事実だし。でも……。


 私は四月一日くんに向けていた視線をそっと自分の弁当箱へと落とす。その視線を追い、四月一日くんとその友だちも私の弁当箱へと視線をやる。そして、何ともいえない空気が漂った。




 私の弁当箱は……すでに空なのである。






 隣の席の四月一日くんはどうやら私と仲良くなりたいらしい。

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