10月3日(月)12:40
「はぁぁぁー」
「八木沼さん、ため息凄いね」
「いやー。明日から中間考査だと思うとさ。ため息も出るよ」
「まあ気持ちはわかる」
「しかもこの中間が終わっても、三週間後には実力考査だしさ」
「それな」
「実力考査が終わっても、今度は期末考査が控えてるわけでしょ」
「確かに。俺ら本当にテストばっかだな」
「ね」
今日は二ノ宮くんも三谷くんも来ていないので、思いっきり愚痴を吐いても問題ない。はず。やっぱ中間考査前だし、彼らも真面目に勉強しているのだろう。二ノ宮くんは勉強いらないだろうけど。
「……ちなみに三谷くんって、頭いいの?」
「普通にいい」
「即答じゃん」
「毎回学年1位の超人二ノ宮と比べれば、もちろん劣るだろうけど。それでもいつも上位一桁くらいには入ってるんじゃないかな」
「うわっ。なんで私の周りって、そんな頭いい奴ばっかなの」
「この学校入ってる時点で、八木沼さんも相当頭いいはずだけど」
「いやいや。中学ときにどんなに試験で上位だったとしても、その上位の人間たちを集めたこの学校じゃあ、私なんてただの凡人だよ」
「うちより偏差値の低い高校の生徒がその言葉を聞いたら、めっちゃキレるだろうな」
「よそはよそ。うちはうちだから」
「なんか使い方違う気がする」
私だって中学生の頃は、わりかし学年上位でそれなりに頭はよかった。しかし、上には上がいるというもの。所詮私は井の中の蛙。頭のいい人ばかりが集う学校に来てしまえば、私の頭脳なんてカスみたいなものである。
「まあ、ルークレインは人間ながら、魔王に気に入られたような奴だからな。頭がいいのも当然だ」
「頭がよくて、戦闘能力も高くて、か。それって、魔王軍に入らなければ、勇者パーティーに入ってたってことのかな」
「……うむ。それは考えたことがなかったな」
私の言葉に、虚を突かれたような顔をする四月一日くん。どうやらこの考えは、寝耳に水であったようだ。
「ルークレインが勇者パーティーに、か。確かに能力的には申し分ないし、出会い方さえ違っていれば、あるいは……?」
それってつまり、ルークレインと出会ったときにはすでに、彼は魔王軍にいたということだろうか。ちょっとその出会いとやらは気になったけれど、四月一日くんは何やら考え込むような顔になってしまったので、このまま放置して私はお昼ご飯に集中することにした。
隣の席の四月一日くんはどうやらルークレインの新たな可能性に気づいてしまったらしい。




