9月30日(金)12:40
「いっそ三谷くんも、モンドテーレのギルドメンバーに入れてあげれば?」
「いやそれは……」
三谷くんは、四月一日くんの世界観に意外と順応できる側の人間であるようだ。自分がなぜルークレインだなんて呼ばれているのかずっと疑問に思っていたくせに、四月一日くんの説明を聞いたら思いの外すんなりと納得してしまったからね。まあ、魔王の配下っていう立ち位置が気に入っただけかもしれないけど。魔王が二ノ宮くんじゃなければ、ここまですんなりとは納得しなかったかもしれない。いや別に二ノ宮くん魔王じゃないけど。
「モンドテーレなら、自分もやってますけど」
「あ、やってるんだ。ゲーム好きなの?」
「好きというか、まあ。趣味であると言えるほどではないですけど、気になるスマホゲームくらいは、一応チェックしているので」
「おお。さすが知名度の高い人気アプリ。じゃあ三谷くんが入ってくれたら即戦力だね」
「皆さんで同じギルドに所属しているのですか?」
「うん。四月一日くんと、五十嵐くんと、二ノ宮くんと、私の4人」
「ぜひ入りたいです」
「いや俺は招待するとは言ってないが……」
さすが二ノ宮くん効果と言うべきか、三谷くんはギルド加入にあっさりと食いついた。しかし四月一日くんは微妙な態度である。
「お前、どうせ魔王軍を入れたくないとか、そんなことだろうけどさ。とっくに二ノ宮入れちまったんだし、もういいんじゃねーの?」
「そうだよ。それにずっと4人じゃ、新しい場所の散策とかできないよ? 強い敵もいっぱいいるし」
「うーん……」
「まあ、私としては、なっちゃんを入れるでもいいんだけど」
「いやあいつをいれるくらいならルークレインの方が……」
「なんでそんな頑なになっちゃんを拒否するの」
四月一日くんは、なっちゃんのことがよっぽど苦手らしい。なっちゃんは四月一日くんのことなんてどうでもいいというスタンスのようだけど、四月一日くんはなぜか彼女のことを意識しまくりである。もちろん、悪い意味で。
「……はあ。仕方ないな。ユーザー名をルークレインに変えるなら、俺のギルドに招待してやる」
「おい、二ノ宮に続いてまたそれかよ。三谷はもう、モンドテーレやってるって言ってんじゃん。完全に最初からさせる気かよ」
「モンドテーレ、ユーザー名の変更がなぜか実装されないもんね」
「僕のときは始めて間もなかったですけど、三谷先輩はもうだいぶやってるでしょうし、さすがにそれはかわいそうなんじゃ……」
「……いいでしょう」
「って、いいのかよ」
「皆さんも四月一日先輩が決めた名前でやっているんでしょう? なら自分だけ違う名前でいるわけにもいきません。世界観が壊れます」
「……お前、ロールプレイそんな好きなの?」
「三谷くん、想像以上に設定飲み込んでるね。そして即戦力を捨ててでも名前を変えさせたいって、四月一日くんの徹底ぶりも凄い」
隣の席の四月一日くんはどうやら条件付きで三谷とゲームをすることを了承するらしい。




