9月29日(木)12:40
「ルークレインについてはだいたいわかりました」
「あ、こいつ一晩かけて設定飲み込んできたな」
「しかし魔王がいるというのなら、もしかして勇者もいるということでは。一体誰が勇者なんですか。まさか四月一日先輩だとでも?」
「そして意外と異世界もののことがわかっている模様」
「俺が勇者なわけないだろう」
「まあそうですよね」
「俺は剣士だ」
「はい?」
「俺は剣士だ」
「……はい?」
「……俺は騎士」
「……はあ」
「……私はヒーラー」
「……なるほど」
「なんか三谷くんが気をつかうような視線を向けてくる」
「この会話どう聞いても正気じゃないもんな」
私だって別に好きでヒーラーを名乗ってるわけじゃないよ。でも今の話の流れ的に、なんとなく乗った方がいいのかなって思っちゃったんだよ。
「……えっと、じゃあ。その、ルークレインには、なにかそういう感じの役職とかあるんですか?」
「うむ。肩書きとしては魔王軍幹部だが。俺たちみたいな役職に当てはめるならば……強いて言えば黒魔術師、だな」
「黒魔術師」
「……それって、なっちゃんの魔法使いが、ダークサイドに落ちたみたいな?」
「そうだな。イメージとしてはそんな感じだ」
「黒魔術か。いかにも魔王軍って感じの響きだな。知らんけど」
「……ちょっとかっこいいですね」
「え、三谷くん意外と好感触じゃん」
三谷くん、もしかしてこういう、中二病的なやつが好きだったりする? 四月一日くんの手前あんまりそういうことは言いたくないだろうけど、ダークサイドとか黒魔術とか、なんかちょっと気に入ってない?
「魔王の配下で、黒魔術師。そしてその魔王は二ノ宮くん。なるほど。俺は二ノ宮くんの配下。なるほど」
「いや三谷先輩? あなたは俺の先輩ですよ?」
「まあ四月一日先輩にしては悪くない設定ですね」
「あの、聞いてます?」
「……もしかして四月一日くんと三谷くんって、いい友だちになれるのでは」
「……まあ、悪い人間ではなかったからな。魔王軍にさえ入らなければ」
「おっとこっちも意外と好感触」
隣の席の四月一日くんはどうやら三谷くんが嫌いというわけではないらしい。




