表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

100/190

9月22日(木)14:00

 生徒会長選挙。体育館のステージに並べられた椅子に、二ノ宮くんがマジで座っている。いや、信じてなかったわけじゃないけど。やっぱり立候補者の中に1年生がいるのは異色だ。でもなぜか、二ノ宮くんが一番堂々として見える。なんだあのベテラン感は。あれが成績優秀者の貫禄か。


 おっと。どうやら応援演説が始まるようだ。応援演説といえばやっぱり、仲のいい友だちとかに頼んだりするのかな。しかし私が言うのもなんだけど、二ノ宮くんってそんな友だちいるんだろうか。あの二ノ宮くんが応援演説をお願いするような相手。全く想像ができない。




「二ノ宮くんの応援演説をさせていただきます。2年4組の三谷です」




 ……まさかの2年生だった。二ノ宮くん、先輩に応援演説を頼んだのか。凄いな。同級生だとお願いできるような相手がいなかったのかな。というか、え。待って。あれって……え……なんか見覚えあると思ったら、あれ、ルークレインじゃん! なんで!?




「1年生が生徒会長に立候補。この異例の事態に、誰もが首をかしげたことでしょう。かくいう自分も、驚いたというのが正直な感想です。しかし考えてもみてほしい。そもそも生徒会長選挙に、立候補者の制限などあっただろうか。否。生徒会はこう述べている。『学年問わず。我こそはと思う者は立候補を』。そう。立候補者に学年は問わないのだ。ならばこの事態、異例と思うことそのものがおかしいのではないか」




 そういえば二ノ宮くんもそんなこと言ってたな。学年問わずなのに、そういう生徒会が1年生が立候補できないような空気を作ってるんじゃないかって。




「彼は言った。1年生が生徒会長になるのは難しいかもしれない。でも、立候補をすること自体に意味がある。これまでだって本当は、1年生で立候補をしてみたいと思った人間がきっといただろう。しかし、実際に1年生から立候補者が現れることはなかった。そういう空気が蔓延していた。だが、そんな空気も、今回の立候補によって払拭される。このたった一度の前例が、今後入ってくる後輩たちの大きな支えとなるのだ」




 全校生徒が、ルークレイン……じゃなかった。三谷くんの演説に引き込まれる。話す速度、間の取り方、自信に満ちた態度。何もかもが完璧で、思わず聞き入ってしまう。




「自分は彼の言葉に感銘を受けた。後輩ではあるが、彼になら全てを委ねられると思った。成績優秀。運動神経抜群。先見の明に長け、リーダーシップも申し分ない。自分は、そんな彼によってこの高校がどのように変わっていくのか見てみたいと思った。生徒諸君も、そうは思わないだろうか。そろそろ彼のことが、気になってきた頃合いではないだろうか。次はいよいよ二ノ宮くんによる演説だ。どうか心して聞いてほしい。1年生だからと侮ることなかれ。そして君たちが公平な目で立候補者たちを判断し、真剣に投票先を決めてくれることを切に願う」




 三谷くん、なんだこいつ……めちゃめちゃ演説うまいんだが。こんなの聞いたら、二ノ宮くんのことが気になってくるに決まってるよ。いやまあ、今さら気になるもなにもないんだけど。



 そうして姿勢良くマイクの元へと向かっていく二ノ宮くんは、やっぱり貫禄が半端なかった。ふと四月一日くんの方に視線を向けてみると、彼はなんともいえない顔でステージを見つめていた。






 隣の席の四月一日くんはどうやら二ノ宮くんへの完璧な応援演説を見てなんともいえない気持ちになったらしい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ