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ようやく題名に近づいてきました。
「ナディア、ナディアじゃない!」
「ええと……どちら様でしょうか」
あっという間に寮への手続きが完了しお嬢様と共に学校へ向かった初日、少しだけお嬢様と離れた僅かな時間にピンクがかったブロンドヘアーを緩めのハーフアップにした、元気の良い女の子がナディアに話しかけてきた。
こちらもまたピンクがかったゴールドアイを瞬かせながらズイズイと近寄ってくる。
全く知らない人から名前で呼ばれるほど知名度が高くないナディアは、僅かに恐怖を覚えながらお嬢様が早く戻ってくる事を祈った。
「やっぱりナディアだわ、私が見間違うはずないもの!貴方も今日からここに通うの?」
「どなたかと間違われているのでは?貴方様とは初めてお会いしたと思いますが」
「あーそうよね!じゃあ今出会ったわ、私ヒロメニア・ローラ。仲良くしましょう!」
この女の子は出会った人皆んな友達タイプの人間だろうか、どちらにせよ関わらない方が良いとナディアの本能が訴えてきている、早くこの場所から去らなければ何か嫌なことに巻き込まれてしまいそうだ。
「ナディア荷物来たわ、って……ヒロメニア様ではありませんか、ご機嫌よう」
「アナタシア様、まさかナディアと知り合い!?」
「…… ヒロメニア様、先を急ぎますので失礼しますわ」
お嬢様が呆れた顔を僅かに覗かせた後、ナディアの手首を掴んで歩き出そうとしたが、ピンクの娘は行かせまいとナディアのお気に入りであるシックなメイド服を強引に掴んできた。
「ちょ、ちょっと!質問に答えてよ!しかも急に手首なんか掴んで、痛かったよねぇ、ナディア!」
「……いや、あの」
「あら、本当に知り合い?」
「私の方は全く」
どちらかと言えば呼び止められたせいで痛くなった手首を撫でながら、ナディアはお嬢様からの問いに答えた。
お嬢様は、少しだけ驚いた様子だったがナディアが知らないと分かるとピンクの娘の方を向く。
「ヒロメニア様、貴方の知るナディアとは違う人のようですわ。いい加減よろしいでしょうか」
「用事があるのはナディアにだけよ、アナタシア様は勝手にどこかへ行ったらどう?」
その回答にナディアの意見は全く入っていなかった。寧ろ先ほどからお嬢様への態度が気にかかる。
ナディアの記憶では、お嬢様は公爵家の娘であり一応王族の血を引いた高貴な方であると侍女講習会で習っている。それを除いてもこの学校で親しくもない人にタメ口はよろしくない。
ここは貴族の学校なので習慣づけるために公の場では自らの侍女や執事以外へタメ口は禁止されているとナディアは聞いていた。
「ヒロメニア様……ここは学校です。そのような言葉遣いは相応しくありませんわ」
「あら、どうせ私は平民あがりで知識不足よ!」
「そんな事は一言も、はぁ……」
お嬢様にため息つかせるとか逆に天才かと、とナディアは頭で思考しつつも、まさか以前話していた光の魔力を使える空気が読めなそうな娘ではないかと思い出した。
お嬢様を『悪役令嬢』などと言った、あの娘の事だ。
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