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ナディア達はその後すぐに解散した。
図書館から寮までは歩いてすぐの場所にあるため、特に長い会話をするわけでもなく部屋へと戻る。
お嬢様は黙ったまま、ナディアの寝支度を受けていた。
ナディアが不明瞭な回答をしてからずっと黙ったままである。
ナディアの方は、『これはやってしまったかもしれない』と内心ヒヤヒヤとしていた。
「お嬢様……?」
「ナディア、さっきの言い淀んだ内容ははっきりしたかしら?」
「……」
やはり知られていたらしいとナディアは身構えた。
こうなったお嬢様を納得させるには今のナディアでは役不足である。
最近、お嬢様を悲しませてしまった手前、流石に嘘をつく訳にもいかなかった。
だから今回は正直に伝えることにして、真っ直ぐにお嬢様の瞳を見つめた。
「恐らくにはなりますが、私の代わりに闇を使う人物がいると思います」
「ナディアの、代わり?」
「はい……ヒロメニア様がおっしゃる彼女の世界では、私は彼女の盲目的な僕のような人物です。恐らく、そちらの世界があるならば私は自ら闇の力を手に入れて彼女の為に行使したでしょう。こちらの世界ではヒロメニア様に惚れ込んだ人物が別にいて、私を引き込もうとしているのだと思います」
「ナディアを……」
「はい、ヒロメニア様が、そう望んでおりますから」
「たしかに、通常闇の力は簡単に使えるようにはならないものね。ヒロメニア様がそちらに精通しているなら話は変わってくるわ」
はぁ、とため息をついたお嬢様は、本棚から古びた本を取り出した。
かなり大きな本棚の中でも少し異様な表紙をしたそれをお嬢様が手に取ったところを、ナディアは初めて目にした。
「闇の魔術の事が書かれた本なの。あまり数も出回ってないから古本屋から購入したのよ」
ナディアは驚いた顔を隠すことが出来なかった。
あんなに闇の魔術について関わらないよう言っていたお嬢様が、まさか関連する本を持っていたなんて。
「ナディアに闇の魔術を覚えて欲しいなんて言ってないわ。そこには習得方法なんか書いてない。書いてあるのは、闇の魔術を使った者の末路よ」
「末路」
「……その中に、『ナディア』という名前があったわ」
「え……」
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