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「あ!ナディア!!」
「うわ、出た」
突然現れたピンク色に、ナディアは驚きの声を上げた。
「何か言った?」
「いいえ、少し驚いただけですよ。それにしてもこんな場所で何でしょうか」
光の娘が現れたのは階段の中段、ナディアが荷物を持って上がる途中であった。
前すらもギリギリ見える量のノートを抱え、ナディアが必死に足を動かしている最中に下段の丁度すれ違う位置から頭をひょこりと現して光の娘は楽しげに話しかけてきた。
腕の疲労が悲鳴をあげ足への重力が倍かかっているナディアの肩をガシリと掴み逃げないよう固定されれば、流石のナディアも見て見ぬ振りは出来ない。
視線で「早くしてくれ」と伝えたものの、光の娘にこの言語は伝わらなかった。
「うふふふ、ナディアにー聞きたいことがあって!」
「はぁ、左様ですか」
「ちょっとちょっとー冷たーい」
異様な親密さで距離を詰めてくる光の娘にナディアは毎度怯えている。
一人で作業をするタイミングで現れる光の娘は、自分がまるでナディア親友かのような態度だった。
そして聞いてくるのだ。
「ねぇ、今私、殿下とのラブ度どれくらい?」
数日前から行われる質問は、ナディアが何かを知っている事を断言しているようだった。
「前からお伝えしていますが、ラブ度というのは何のことでしょう」
「えー知ってるくせに。ナディアには見えてるんでしょう?」
「見える?」
「ステータスよ」
一体ステータスとやらは何か不明だが、やはりナディアが何か勘づいていることを知っている態度だ。
他の人間の女性には全く寄り付かないこの娘がナディアにだけは積極的に関わってきた。
そして、それが情報を搾取するためであれば、このやたら自己中な娘にはお似合いな近寄る理由である。
「ヒロメニア様、私は本当に何も知りません。話しかけ……」
「本当に?だってナディア、通しの目を持っているでしょう?」
通しの目、それは黒魔術によって自分の瞳と交換する魔術眼のことだった。
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