潜入(アリアラ公爵家)
潜入(アリアラ公爵家)
ようやくアリアラ公爵家の王都に辿り着いた私は、早速入ることにした・・・のだけど
「やっぱり戦争中なだけあって検問があるのね・・・どうしよう・・・」
そう。検問に引っかかっていたのです。まあ戦時中だしね。どうしようか迷っていたら、私の出番になってしまった。ここは旅人として入ろうかな?けどこの服装かつ若い私がそんなにすんなり入るかしら?そう思っていたらある項目が目に入った
「次!あんたは何しにこの街に?」
「はい。村を隣国に追われたので、ここでメイドでもやろうかと」
そう。求人広告である。幸い、アリアラ公爵家からの求人があったので、それに便乗する形を取りました。これで通じるかどうかというのは分からないけどね。正直一か八かの賭けに出てしまったわ。大丈夫かしら?
「そうか・・・それでその服装なんだな・・・可哀そうに。分かった。地図を渡すからそこに行って『求人を見てきました』と言えば軽くだろうが、教育してくれるはずだ。ちょっと待ってな」
まさかの上手くいきましたよ!しかも貧相な服装が更に功を奏したのね!私ってば天才?・・・こらそこ!私をバカにしない!!これも作戦のうちよ!こらそこ!行き当たりばったりとか言わない!!
「待たせた。ここに目印を書いたから、そこに向かってくれ」
「分かりました。ありがとうございます」
検問を過ぎた私は、早速向かうことにした。もともと行く予定だったしね。暫く進んで公爵家に近づくと、何やら行列が出来ていた。なんですかこれ?すると一人の兵士がこちらに近づいて来た
「君は?」
「あっ、はい。求人を見て応募しに」
「そうか。ならこっちへ」
あれ?何かされると思ってたけど、違うの?しかも何の行列か分からないし・・・更に言えば、私一人だけ、行列を縫うように進んでいた・・・やっぱりおかしいよね?
「あの・・・」
「何だ?」
「この行列って何ですか?」
「これか?これは公爵家に対する非難する人たちだ」
「非難ですか?」
「そうだ。今は兵士だけで守っているが、今後は執事やメイドにも守護してもらうから、そのつもりでな」
「・・・はあ」
え?守護を使用人で賄うの?それって結構ハードじゃない?これは失敗したかな~・・・。そう狼狽えた私は早速この作戦に後悔し始めていた。そのことを梅雨しらず、兵士は更に進み、ようやく門に辿り着いた。すると一人の門番が話しかけてきた
「おい。その貧相な女性は何だ?」
「求人を見てきたと」
「その貧相な服装でか?確かにうちは人手不足だが・・・。まあいい。入れ」
とかなり冷たい兵士に入る許可を得て、ようやく敷地内に入り込んだ。中に入っておっかなびっくり!流石は公爵家。城と名乗っても差し支えないくらいに広い庭が私をお出迎えしていた。わお~。ここが潜入する場所なんだ。これは腕がなりますね~~。軽くテンションが上がったところで、一人のメイドさんがこちらに来た。歳は・・・私よりは少し上だけど、それでもきっちりしたメイドさんがお見えになった
「兵士さん。こちらは?」
「求人広告を見て応募したいんだと」
「そうですか。ここからは引き継いでも?」
「構わない。寧ろそうしてくれ」
「では。引き受けました。貴女、メイドの経験はありますか?」
「私は・・・無いです。今まで村でひっそりと住んでいましたから」
「そうですか。でしたら応募は引き受けますが、まずは服装などをきっちりしませんと、表に出すことすら許されないので、お気をつけてください」
「はい」
「ではこちらへ。まずは服をお渡しします。その後は部屋のご案内します。調理などの雑用はその後です」
「はい」
?これは大チャンス?先に案内ってことは、このメイドさんを脅せば何とでもなる?このチャンスを逃してはならない!!これは早速任務成功する可能性あり!?・・・いやいや、ここで慌ててはならないわ・・・これで任務に失敗したら笑いものだから!気持ちを落ち着かせて、まずは着替えることに。メイド服は初めて着てみたけど、意外に動きにくいのね。まあ、丈の長いスカートだから当然と言えば当然か。着替えて早速、先輩メイドさんに場所を叩きこまれに来た・・・Mではないからね?念のために言うけど。それにチャンスさえあればこのメイドさんを人質ならなんやらして証拠のありかを吐かせてやるのだから!!
「準備はよろしいですか?」
「はい」
「まずは旦那様の要望に応えないといけないので、まずは部屋を細かく指導してまいります」
私はその前に、少々突っ込んだ質問をしてみることにした
「あの・・・。少し勉強とかしたのですが、ご当主様とかって隠し部屋とかあったりしますか?」
「・・・裏のことを勉強してしまったのですね・・・。まあ良いでしょう。そうですね。隠し部屋はあることはありますよ。丁度良いので案内します」
「・・・良いのですか?」
「なに。いつかは教えなければならないので、これくらいは」
「では、お言葉に甘えて」
「その代わり他言無用にてお願いします」
「はい」
・・・これはその場所を教えたら、即刻このメイドさんをどうにかして、退散したほうが良さそうね。時間もあまりないし。寧ろ既に遅れているかも?取り敢えず先輩メイドさんに付いて行くと隠し部屋であろう場所に辿り着く。これは脱出しやすいかもね。というのも一階の奥の部屋だしね
「こちらが旦那様、いえ、ご家族様も含めての隠し部屋になります。この中は書類が山積みとお伺っています。私もこの場所には入ったことが無いので確証はありませんが、ご家族様と旦那様が良くこの中で何かしているのはよく見かけます」
「そうなのですね」
ふう~ん。ここなのね。今魔法で透視してみたけど、この中はクロと考えて間違いなさそうね。しかも好条件なことに、今は周囲には誰もいないので、やるなら今のうちね。あと、このメイドさんには申し訳ないけど、お亡くなりになってもらおうかしら?顔バレしてるし。という事で作戦を実行に移すことにしました
「・・・分かりました。ありがとうございます」
「それでは。次の部屋にご案内・・・」
「ご案内するのは私ですよ。あの世というご案内をね」
ジャギーーーーン・・・
「・・・・・・。よっこいしょ・・・。ふう。このメイドさんが軽くて助かるわ。さて、証拠証拠っと」
先輩メイドさんには申し訳ないけど、首切りでお亡くなりになりました。ごめんなさい。これも任務なのでね。メイドさんには、ブービートラップとして、部屋の中に入れてそのまま放置しました。目撃者を殺害したところで、早速部屋の中を漁るとあらビックリ。紙の山、しかも家族分の不正な証拠がたんまりじゃないですか!この量は脅せば孫の分まで金になりそうな代物ばかりで逆に恐怖を覚えましたよ。でも任務に支障をきたす訳にはいかないので、証拠を全て持ち帰ることにしました。実はこのバックパックは四次元になっていまして、容量オーバーしない限りは何でも入る優れモノなので、紙くらい造作もないのです。さて、用事も済ませましたし、トンズラしますか・・・?いや、誰か来そうですね。待ってこの人も殺害しますか。人数は?一人か。大丈夫だね。もう直ぐで入ってくるわね。てことで忍者のように天井角に張り込み、部屋に入ってくることを待つことに。そろそろかな?
ガチャ・・・
来ましたね
「あ~~もう!!何でこうなるのよ!!」
あれは・・・確か問題の正妻の娘の姉妹の一人じゃないですか!ここで鉢合うのは神の気まぐれですかね?まあ、殺すことにしているのでどっちでもいいけどね。この場合は・・・うん、この方法で行きますか。まずは
【結解魔法。《レベル4》効果《遮音》《対魔法》】
これで様子見ですね。という事でご登場しますか。あっ、顔バレしないようにフェイスマスクも忘れずにね
「どうもこんにちわ。悪名高きお姉さん」
「!?誰!?」
「今登場しますよ・・・。よっと」
「・・・あなた誰?ここが分かって侵入してるの?」
「そうね。分かってて侵入してるわね」
「ならどうなっても知らないわよ?」
「どうぞ?」
「・・・・・・!?」
「どうしたの?誰か呼ぶんじゃないの?」
「・・・・・!?どうして・・・」
「貴女今魔法で誰か呼ぼうとしていたわね?残念でした。結解で無効化されているので出来ませんよ。因みに声も通らないのであしからず」
「・・・なら私と戦う?」
「どうぞご勝手に」
「なら・・・」
少女は早速私に魔法攻撃を仕掛けてきた・・・けど、これ本当に魔法かしら?こんなの私らで言う幼稚園生でもこれより強大な魔法を撃てるわよ?これで頭脳明晰と言われているのね・・・拍子抜けだわ。興ざめしたので私は打ってきた魔法を火の粉を払うが如く、払って見せた
「・・・!?私の攻撃をいとも簡単に・・・貴女何者?」
「それは教えられないわね。だって貴女はもう直ぐで死ぬんだもの」
「・・・ふざけないで!!なら私の最大魔法を受けなさい!!それで悔やむといいわ!!」
今度はどんな魔法を見せてくれるのかしら?・・・え?この程度?まるで止まっているように見えるわ。例えるなら、亀の様に遅い打球がこっちに来る感じね。てことで同じように振り払うことにした
「・・・この程度?頭脳明晰と聞いて少しは相手になるかしらと思っていたけど、これはダメね・・・」
「嘘・・・私の魔法が・・・」
「さあ、次の攻撃は?」
「・・・」
「まさか、魔法だけ?」
「・・・」
「はぁ・・・これだけとはね・・・これで何で仲間が集まるのかしら・・・」
「・・・何が望みよ・・・」
「望み?貴方達家族、いや、国ぐるみでやっている不祥事の証拠を公開するだけね。当然ながら、貴女がやったことも全てね。例えば気に入らない生徒を闇討ちしたり人の物を強奪したりとかね」
「!?・・・止めて・・・」
「何を?」
「・・・その情報を公開するのをやめて欲しいの・・・」
「それは出来ない相談ね。私も国の指示で動いているからね」
「そんな・・・じ、じゃあ、取引は?」
「取引?」
「ええ。取引よ。その証拠は私が責任をもって出すわ。その代わり見逃してちょうだい!」
「アホちゃうか?この小娘が。そんなことをしても貴女は証拠を提出せずに証拠を隠滅するに決まっているわ。目に見えているんだもの」
「・・・どうしたら・・・」
「どうしたもこうしたもないでしょうに・・・」
「あ、あの・・・見逃してもらえは・・・」
「小娘が、さっきまでの威勢は何処に行ったよ?さっきまで私をどうしようかと躍起になっていたじゃん」
「・・・勝てないので・・・」
「そこは分かるんだ。そこはまあ良いでしょう。貴女も学生生活で怠けていたのでしょうね」
「・・・」
「さて、話は終わりです。これから貴女には死んでもらいます。それに気が付きませんか?」
「・・・え?」
「私の左に何かありますよ?」
「?・・・!?あれは・・・私の専属メイド・・・!!」
「そうでしたか。取り敢えずもう絶命してますのでどうしようもないですよ?」
「・・・これも・・・貴女が・・・」
「勿論です。任務遂行にはこれもやむを得ないので」
「どうして・・・どうして・・・ぐすっ・・・」
「泣くのでしたら貴女の行いを振り返ってみてくださいな。それで分からなければ貴女も世の末です」
「・・・」
「考え着きましたか?」
「・・・私は・・・どこで・・・道を間違えたのでしょう・・・?」
「それが分かれば及第点を出しましょう。ですが、そこまで辿り着いたのは遅すぎたけどね」
「・・・うう・・・ごめんね・・・」
「てことで」
「・・・」
「これでおさらばです」
ジャギ!!
私はナイフを彼女ののど元に刺しました。今までの行いを悔いるといいです。さて流石に長居し過ぎたので、去りますか。けど正門から逃げては不味いので・・・丁度良いのがいたので便乗しますか。あっ、彼女も同様にブービートラップとして使わせてもらいましたよ。今度はSではないからね?ここ重要だよ。それは良いとして、私がとった方法は
「おう。どこまで?」
「隣町まで中身は物資さ。見ても構わないぞ」
「いや、物資ならいいや。気を付けろよ」
「分かってる」
そう。丁度公爵家から出る馬車がありましたので、その車体の裏側に潜り込ませていただきました。これで脱出成功!!頃合いをみて馬車からも離脱よ!
「さて、もう良いわね。よっと。心の中であの馬車に感謝を言いますか。『ありがとうございます。お陰で任務は遂行しました』次は・・・HQ、こちらマニー」
『こちらHQ。マニー、どうした?』
「アリアラ公爵家の潜入成功しました。これから送ります。送れ」
『了解。ちょっと待ってろ?・・・届いたぞ・・・ってこっちも凄い数だな・・・』
「こっちも?というと?」
『実はな、数時間前に任務遂行したヘビーから来てな?押収した証拠の数で圧倒されていたんだ。なので・・・』
「なるほど。それでこちらも、という訳ですね?」
『そういう事だ。兎に角お疲れ様。これから向かうだろ?離合ポイントへ。送れ』
「ええ。これから向かいます。多分ですが、ヘビーと違って私の方は少々時間に追われている気がするので、この通信後、急いでポイントに向かいます。送れ」
『多分そうだろうと俺らも思った。あっ、向かう前に一つ。アリアラ公爵家の潜入時、何かあったか?』
「あったと言えばありましたね。予定外のことが起きたので、問題の一人の正妻の娘で、あれは姉かな?それと専属メイドの計二人を殺害しました。殺害しないと任務に支障をきたす可能性があったので、仕方なく。殺害しました」
『・・・まあ、仕方ないな。分かった。正妻の娘の姉妹のどちらかを死亡扱いとして本省に送っておく。取り敢えずマニーはポイントに向かえ。送れ』
「了解しました!アウト」
ということで何とか潜入を終えた私は、時間を気にしながらポイントに向けて、森の中を駆け抜けるのでした・・・オチ?それはね・・・
ドガーーーーーン!!!
というアリアラ公爵家からの爆発オチでした。オチが酷い?それは言わないでね。お姉さんとの約束よ♪




